第14話 不恰好なランプ

 部屋のランプを見ると、ヒロを思い出すことがある。

 不恰好なランプ…意味も無く、部屋に置いてある。

 わざと、あまり目につかない場所にだ。

 それでいて、捨てることもできない。


 その夜…久しぶりに電池を入れ替えて点灯させてみた。

 あのときと同じ光が部屋を照らす。


 俺は、ランプを持って龍神池に向かった。


 暗い池の周りをランプを照らして歩く……。


 祠の前に来ると、あの夜の緑の光を思い出す。

(もしかして……)

 そんな気持ちがあった。


 池の反対側に懐中電灯の明かりが見える。

(本当に?ヒロ?)


 僕は光の方へ走る。


「どうしたんじゃ?」

 光の主は神主さんだった。

「いや…別に…ただ…散歩です」

 僕は恥ずかしくなった、来るわけないのに……いるわけないのに。


「中学生になったか…早いな、歳をとると1年なんて、あっという間に過ぎていく…少し話をしないか?」

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