小沢治三郎~最後の連合艦隊司令長官~

@yamady

第1話 伝えたい想い

「開戦の責任は俺にはない。しかし、敗戦の責任は自分にある。」と言い切り、「君達は死ぬ必要はない。皆が死んだら誰が祖国を再建するんだ?」と多くの若者を前に伝えた大日本帝国海軍最後の連合艦隊司令長官が居たことをご存知だろうか?空母機動部隊生みの親であり、誰よりも早く航空機優勢を見抜く先見の明を持ち、アウトレンジ戦法などの奇策で、優れた手腕を発揮した。戦後まで生き残った彼は、多くの優秀な若い人材を犠牲にしてしまったと、自責の念を強く抱き、多くを語らず口を閉ざした生活を送る。大の酒好きで、政治的な所は一切なく、剽軽なところも一切ない。巨漢な上に、ごつい顔で酔っぱらい「私のラバさん~♪」てな調子でやったものだから、かのマレーの虎と謳われた山下泰文陸軍大将も、唖然としたという。この物語は、そんな快活明瞭な男が歩む事になった修羅なる人生を描いた物語である。その男の名は、小沢治三郎である。

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