19 冬眠したい・年賀状準備

【冬眠したい】


 寒い朝です。

「五月様、いいかげん起きてくださいまし」

「んー」

「最近お寝坊が過ぎますですよ」

 五月先生、ごろんごろんが止まりません。


「だってぇ、寒いんだもん」

「当たり前です、11月なんですから」

 おコタも出しましたしね。


「んー、カエルだって冬眠中」

「五月様はカエルじゃないでございましょ!」

「じゃあ、今からカエルになる」

 五月先生、舌だけじゃなく言動もお子ちゃまです。


「そうでございますか」

 メイドさん、プチリと堪忍袋が切れたご様子です。

「なら……」

 なら?


「土に埋めます」

「お、起きます!」

「ほぇ」

 なぜそれで飛び起きる、五月。


「本当に埋めるわけないでございましょ」

「お前ならやりかねない!」

 いやいや、いくらなんでもそれは。




【年賀状準備】


「五月様ぁ、11月が終わってしまいます」

「うむ。今年もあとひと月か」

 月日の流れるのは早いです。


「そろそろ年賀状を用意いたしましょ」

「ふむ、そうだな」

「今年は何枚必要でしょう。印刷にいたしますか? それとも絵手紙?」

 おふたり合わせて50枚くらいでしょうかね。


「絵描きたいけど、時間かかるしな。来年の干支はなんだっけ?」

「え〜っと……」

 メイドさん、指折り数えます。


「メイド、それギャグ?」

「違います」

 なんか、さぶっ。


「もともと干支の読みは、十干じっかんからなのですよ」

「へー、そうなんだ。で、来年なに年?」

「え〜っと……子、丑、寅……ん〜」

 メイドさん、再度指折り数えます。


「お前、もしかして年齢詐称?」

「違いますですっ!」

 出ました、ザ・昭和っ子疑惑。

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