第8話 目隠しギャルにフェードイン

 人命救助で表彰された 桜木さくらぎ 雪夜ゆきやです。

 警察署長に聞いたら、胸を張ってヒーローを名乗りなさいと言われました。

 警視庁公認のヒーローです。


 シズシズのことは気になるけど……明日から2泊の林間教室のほうが大事です。


 手荷物確認3回目です。


 カレーの材料、僕はじゃがいも係。

 下着

 歯ブラシ

 洗顔

 オヤツ

 3DS

 お菓子

 トランプ

 スナック

 救命グッズ…etc.

 大体OKだ。

 そして…スカートだ。

 前回の例もある、林間教室もスカートとは無縁のはず。

 万が一の事態を想定しておくべきだ。

 僕は、華夜かよ(姉 19歳 JD)のスカートを拝借しておいた。


 華夜かよはT159.B83(B).W58.H88 美人だ。

 不思議なもので、客観的に美人だとは思うが、まったく性の対象にならない。

 DNAの七不思議だ。



 林間教室

 バスで登山道入口まで運ばれる。

 ここからはハイキングとなっているが……山の傾斜を見ると、確実に登山だ。

 しかし…山を舐めてるのか、反抗期なのか、何人かの女子はミニスカートで参加している。

 服装の規定には、ハイキングに適した服装となっているだけだが……まったく…呆れるやら、嬉しいやら。

 まぁ…スカート持参で参加している僕よりはマシかもしれない。


 ハイキングとは名ばかりの登山、完全な山道を1時間…元気だった僕たちの口数が少なくなる頃、お調子者バカが大きな蜂の巣を発見する。

 この沈んだ空気を打開しようとしたのか、蜂の巣を木の枝でフルスイングしやがった。

 ボスッという音とともに、後方に飛び、転がる蜂の巣……ブーンという大きな羽音が生徒の周囲を包囲する。

 黄色と黒の先頭集団『スズメバチ』その凶悪さは顔にまで滲み出ている。


 大パニック!!!!!!!!!!!!


 阿鼻叫喚の数十分の後……僕は、というかおそらく皆バラバラになっていた。


 山中を彷徨う事20分、

「助けて……」

 かぼそい女の子の声がする。

「誰だ!どこにいる?」

「ここよ……崖の下よ……」

 崖から下を覗き込むと…いた…寄りによって、また面倒くさい場所に落ちたものだ。

「大丈夫か?怪我は?」

「足をひねったみたいで動けないの」

「誰か呼んでくるから動くな!」

「急いで……崩れてるの…どんどん…」

 彼女の足場は砂地で、ザラザラと崩れているようだ。


「解った…動くなよ、すぐに誰かを呼んでくる!」


「あっ!桜木!良かったし~」

「おう!ちょうどいい、この先の崖で……」

「アタシ、蜂に刺されて…死にそげ~、マジで痛い!」

 ミニスカートをペロッとまくり、スパッツ裾をチロッとまくる。

 痛々しそうだが…スズメバチではなさそうだ。

「今それどころじゃない…この先で…」

「もう歩きたくないし…」

 他人の話聞かねェ~。

「解った…治してやる」

「マジで!治るの?神だし!」

(いや…神はお前だ…)


 僕は、崖下の女生徒にスカートを落とした。

「なんのことか解らんだろうが…今は僕を信じろ!それを履くんだ!」

「えっ?」

「頼む!」

「う…うん」

 女生徒はジャージの上からスカートを身に着けた。

 いささか不本意だが、これ以上は望めない。

(やるしかない!)


 僕はリュックから蜂や蛇の毒吸出しグッズと1mほどのロープを取り出した。

「注射…嫌い…だし」

「注射じゃない…吸い出す便利グッズだ、足を出せ」

「恥ずかしいし~」

「目を閉じてろ!」

 なんやかんやのやり取りを経て…半ば強引に目隠しをした。

(これで安心だ…変身!)

 お面を被り、僕はスカートにそっと頭を突っ込んで…スパッツを凝視する。

 黒い繊維の向こうに彼女のパンティが透けて見える……。

(サルート刺繍の白いパンティ……中学生が履くには背伸びしたデザインだ…きらめく青の華が銀色の刺繍に縁どられている…あぁ…スパッツがその輝きを遮るように優しい意地悪をする。…少しどいてくれないか?…ダメよ…ウフフ…)

「くるよ…僕の中に…あぁくるよ…」

「なに?吸い出せてんの?桜木?何が来るの?」

「黙れ…邪魔するな!動くなよ…あぁ…コンプリート」

「コンプ?なに集めてんの?」


 続く。

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