二章「兵力差は600倍です」

007「妖精さん、豚人間を追跡せり」

逃げた3匹の豚人間を追跡するために、シルバーは空を飛んだ。

しかし、地上を生い茂る木々が、豚人間達を隠してしまう。


『サーチ&デストロイっ!サーチ&デストロイだ!妖精さん!』

『銀髪ロリとイチャイチャするためにっ!俺が妖精さんに命じる!豚をっ!殺せ!』


(この森、広いな。どうやって豚を見つけるんだ……?

逃げた方向はわかるが、難しいぞ、これ……たった3匹だし)


『3匹の子豚ならぬ、3匹の豚人間』

『妖精さんは、きっと家を吹き飛ばす狼さん役』

『そのネタだと、妖精さんが負けちゃう!』


(ど、どうしよう……見つけるの無理っぽい……?)


『妖精さん、妖精さん』


「ん?」


『あいつらも水を飲んで生きている生物だろ?』


「うん、たぶん」


『200匹の大群をどうやって養っているのか知らないが、巣はきっと水源に近い場所にあるぞ。

川沿いに探せば見つけられるんじゃね?』

『もしくは廃村になった村とかあれば、絶対にそこに住んでるよな。井戸あるだろうし』

『豚は、生活に便利な場所に住むとです』


(他に当てがないしなぁ……川沿いに探してみるか。

1本1本、調べれば、巣も見つかったりして……)


~~~~~~


シルバーが川沿いに捜索活動を続けた結果。

ゆっくり歩いている3匹の豚人間を発見した。

時間にして、十秒後の出来事だった。


『発見早すぎwwww』

『ちょwww妖精さん、幸運に恵まれてるだろwww』


(生物って、周りの地形に縛られて生きてるんだな……)


動物も人間も、生活しやすい場所に、好んで住み着く。

それは世界が違っても変わらなかった。

川の近くに拠点があれば、魚も取れるし、水も飲める。良い事三昧だ。

あと、国から離れれば税金の取り立てもない。


「ブヒィー!エルフィンちゃんの身体で、俺の深い悲しみを慰めてもらうブヒィー!」

「今日は厄日ブヒィー!」

「次に出会ったら、あの妖精さんのチッパイを可愛がってやるブヒィー!」


よく見たら、豚人間達は、森に自生している山菜を食べながら、飢えを満たしつつ帰路へと着いている。

とんでもない超雑食動物だった。


『無数の細菌が生きている状態の作物を食べてる件、調理しないと死ぬぞ……』

『ちょwwww食中毒になって死ぬぞwwwアホかwww』

『なるほど、これなら農業しなくても、200匹くらい豚人間を養えるな……ファンタジーすぎる……』


(おいおい……これ1匹でも逃がしたら、そこら中でまた繁殖しまくりって事じゃっ……?

うわぁ……皆殺しにしないと、弾丸が幾らあっても足りないぞ……。

森って広いし、イモっぽい山菜も広範囲に自生している感じだし、一度逃がすと面倒そうだなぁ)


シルバーは戦慄した。

転生する前に見た、キャラクターメイキング画面に『豚人間 最大勢力です』と書いてあったが、物量そのものを武器に、覇権を得ているチートな豚なのだろうと確信する。

しかも、最悪な事に、美少女とエッチィ事して孕ませるレイプ魔ときた。

無垢な少女を凌辱する行為は、決して許せる事ではない。

惚れた銀髪ロリのためにも、ここは頑張りどころだ。


「俺、1匹残らずっ……!

あの豚を駆逐したいですっ……!」


『なぁ妖精さん』


「んっ?」


『このまま追跡して、豚人間達が巣に戻ったら……妖精さんの情報が漏れるぞ?』


「すまん、何を言いたいのか、さっぱり分からん」


『空を飛べる妖精が、遠距離攻撃してくるって分かったら、プラチナちゃんがいる村が危ない』


「!?」


『まともに戦っても、妖精さんに勝つのは不可能だって、豚人間は考えるだろ?

妖精さん、空に浮けるし、銃を使えるし』


「うん」


『だから、妖精さんを降伏させるために、豚人間どもが村に攻め込んで、プラチナちゃんを人質にする可能性が高い。

そういう卑劣な手段を使わないと、厄介な妖精さんを倒す手段がない』


「あいつらを巣に帰すと……プラチナちゃんが危ない……?」


『それに豚人間が200匹以上いるなら、拳銃弾足りないだろう?

だから、あいつらを追跡するんじゃなくて、ここで足でも撃って捕虜にして、もっと豚人間の情報を得るべきだと俺は思う訳だが。

現状では、あいつらの情報が少なすぎる。妖精さんは、豚人間の事をよく知るべきだ。

孫子も言ってるだろ?

彼を知り己を知れば百戦殆うからずって。

……まぁ、俺は部外者だ。このまま追跡するも良し、あいつらを尋問するもよし。

好きな方を選んでくれ』


二つの選択肢に、シルバーは悩んだ。

このまま巣まで付いていっても、一人じゃ豚人間を倒しきれないのは事実だ。


『村の皆と一緒に、豚人間を討伐すればいいんじゃね?』

『皆で殺れば怖くないお』


かと言って、巣を見つけて、その位置をプラチナに教えても、問題が解決するとは思えない。

解決能力がないからこそ、彼女はシルバーを頼ったのだ。

プラチナ達を頼るにしても、豚人間の数を減らした後にした方が良い。

自分なら、空を飛べて一方的に相手を殺せるのだから。


「分かった……あいつらを捕虜にして情報を聞き出す」


『豚の捕虜』

『なんという誰得な響き』


自動拳銃グロック17を両手で強く構えて、シルバーは空をゆっくり降下した。

豚人間達から見えないように、真上20mへと移動。

森の中を歩く豚人間めがけて、拳銃弾を連射する。

鋭い銃声が何度も響きわたるが……森林地帯は障害物だらけ。

木々が邪魔をして、銃弾が当たらなかった。

ひたすら弾倉を交換して、乱射するが一発も掠らない。


「さ、さっきの妖精ブヒィー!?」

「俺たちは悪くない豚人間ブヒィー!」

「やめるブヒィー!」


しかも、豚人間達はたくさんの木々を盾にできるように移動して、妖精さんと向かい合っている。

向こうも手頃な石を拾って投げているが、やはり、木々が邪魔をして意味がない。


「貯金残り少ないのに、当たらん……」


『下手すぎるwwww』

『不意打ちしたのに失敗とかないわwww』

『圧倒的に有利な状況だったのにwwww』

『おまwwwww肝心な所で失敗すんなwww』


無駄弾を撃つ事は、少ない貯金を更に減らすことに繋がる。

背中に生えている蝶蝶の羽根が大きすぎるから、シルバーが森の中に入ったら、高速で移動できず、投石の餌食。

シルバーは、豚人間達の真上で途方に暮れた。


「早く降りてくるブヒィー!」

「チッパイでも、優しく揉んであげるブヒィー!恥ずかしがらなくても良いブヒィー!」

「同胞を殺した数だけ、子供を産んでくれたら許してあげるブヒィー!過去の罪は水に流すブヒィー!

争いは何も産まないブヒィー!だから、俺たちの子供を産んでほしいブヒィー!」


『こいつら、妖精さんを女の子だと思ってやがるっ……!』

『妖精さんwwwwここで、こいつらがバラバラに逃げたら、村おしまいだぞwwww』

『プラチナたんを守るために、早く解決するんだお!』


(どうするべきだろうかっ……?

銃弾を乱射?

残り2万2000円しかないんだぞ?

障害物が多い場所だと、無駄弾が多過ぎる……)




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拳銃弾×50  1000円消費 

残金2万3000円 ⇒2万2000円

【小説家になろう】主人公「教えた文化を改良して発展させる異世界人すげぇぇぇ!」 異世界征服 ~異世界に転移したので略奪スキルで商人を目指していたら世界を掌握していた件~

http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/blog-post_27.html


【小説家になろう】 「一千万文字突破」 サモナーさんが行く

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