臨界前夜

お竜

第一章「出会いについて」

第一章「出会いについて」1

私の名前は須之内広樹。

私達が起こした事件について、きちんと記録に残すべきだと思い、今キーを叩いている。


自分達を正当化しようとは思っていない。私達がやったことは犯罪で、悪事だ。正しいことではなく間違ったことをしたのだから、私達は裁かれるべきだと思っている。


しかし、知ってほしいと思ったのだ。なぜ私達がわざわざこんなことをしたのか。ありきたりな言葉なら、犯行の動機。


おそらく警察によって、これから少しずつ事件の全容が明らかになり、マスメディアを通じて多くの人が知ることになるだろう。


だが、私は私自身の言葉で、この事件を出来るだけ多くの人に伝えたくなった。

理解してほしいとは言わない。理解してもらえるかどうかも、私達がやったことで何か世の中に変化がもたらされるのかも、分からない。


ただ、動機を誰かに伝えたいのだ。私達の悔しさを。


あとは、これを読んだ人次第。何をどう感じるかはお任せしたい。

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