方向音痴よ永遠に

さすがに通院三回目ともなれば行けるだろう、三度目の正直だ、と思って行ってみた。ただし念のため時間に余裕をもって。


迷わなかった。大成功。


正確に言えば一回反対側に行ったけど二週間前に同じ過ちを繰り返したのでセブンイレブンが見えてきた時点で「反対だな」と冷静に判断し、ついでに飲み物を買って元来た道を戻った。


別にコンビニ行きたかったからこっち来ただけで道なんて間違ってませんからね、みたいなツンデレのテンプレ的言い訳を頭の中で用意してしまうあたりアホの極み。


病院もその後は難なく着いて、診察も普通に終わった。薬は三週間分処方され、無難に様子を見る感じ。拍子抜けするほど何ともなかった。ここまでは。


まあタイトルでわかる通り、この後迷ったという。


なんと、駅に帰れなくなった。


もうね、アホかと。我ながら。アホ。

元来た道を戻ることもできず、同じ通りに戻ってくる。方向音痴もここまで来るといっそ清々しいというか。


そうこうしているうちに薬の時間。処方を受けている薬は朝夜二回、食間に飲むことになっている。漢方薬だし水じゃなくても大丈夫だろ、と思いながら手元のコンビニ袋の中にあるはずの紅茶を探った。


なかった。


ただ薬が入っているだけだった。


何ならコンビニ袋ではなく、薬局の袋だった。


三週間分処方されたもんだからいつもより少し重くて、飲み物と錯覚していた。一気に脱力。薬局近くまで戻ってきてしまったので置きっぱなしになってないかと覗いてみる。


なかった。


半分くらい飲んだ飲み物をわざわざ取りに行くのもどうなんだと思って諦めて帰った。ちなみにすぐにはたどり着けなくて、ショッピングモールに入ってみたりなどした。もう何やってんだ。


三度目の正直、ではなく、二度あることは三度ある、だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る