第24話 不幸な知らせ

「皆様どうですか? わたくし特製のチャーハンは」

「美味いぞ哀來」

「おいしいわ哀來ちゃん」

「哀來姉さんって料理うまいですね」

 ここ数日間で俺と哀來との距離は前より縮まり兄弟、時には夫婦? の様に過ごした。

 哀來は家事も料理もお袋に比べればまだまだだが、うまくこなしていた。

 それを見たお袋は「ますます小夜のお嫁さんに相応しいわね」なんて言っていた。

 それを聞いた哀來は頬を赤く染めて喜んでいた。俺も自分の事のようにスゲェ嬉しかった。

 アルトとの仲も良好だった。

 お袋が演奏会などで家を空ける時にご飯をつくったり、洗濯をしたりなど家事をこなしている。

 お袋もアルトも哀來の事を気に入ってくれたみたいで良かった。

 気に入られなかったらどうしよう、と思ったが大丈夫みたいだ。

「ねえ、今テレビやっているのって……」

 アルトが何か言ってきたのでつけていたテレビを見てみた。


『おめでたい結婚式で恐ろしい事実が発覚しました。新婦側の父親が2つの殺人事件の真犯人だったのです。先週、春分の日に行楽圓ドームで行われた盛大な結婚式で……』


「……」

 すごく身に覚えのある事件だった。

「ど、どうしてあの結婚式がニュースになっているのですか!?」

「まぁ、あんなに盛大にやった結婚式だからな。逆に話題にならない方がおかしい」

「未成年なのでわたくしと小夜様の事は名前を伏せて紹介されていますね。特にわたくしが……」

「新婦だからね。仕方が無いわ」

 俺とお袋が哀來をなだめているが、ショックは大きいだろう。

『殺人罪で逮捕された燕大光容疑者は株式会社燕舞の社長でしたが、デザイナーから受け取ったデザインの著作権をデザイナーから剥奪し、会社のものにするなど強引なやり方が容疑者の家宅調査で明らかになりました』

最低だな……ん? て事は! まさか親父も! 

そうか! どうりでミュージカルを観に行った時の哀來の服装が見たことがあるように感じたんだ!

親父がデザインした服のイラストが家によく置いてあったから嫌でも目についていた。 間違いない!

「哀來姉さん。コイツに騙されていたんだよね」

アルトが哀來に聞いてきた。

「本当に自分勝手な人でした、燕大光は。いつかこんな日が来ると密かに思っていました」

「哀來ちゃん辛くない?」

お袋が聞いてきた。

「大丈夫です。毎日一緒にいた訳ではなかったので『この人本当にわたくしのお父様?』と思ったくらいでしたから。」

 初耳だな。しかもその予想は見事に当たっているのですごい。

「ねぇ他のチャンネルにしない? 哀來姉さんが可哀想だよ」

「そうだな」

アルトの提案に賛成し、リモコンを持ってチャンネルを変えようとした。

『速報です。先ほどお伝えしました燕大光狙撃事件の犯人が逮捕されました』

「何!?」

これは聞き逃せないぞ! 一体誰だ!


『逮捕されたのは柏野元道(もとみち)。燕容疑者の姪の執事をしていた男です』


「嘘だろ!」

「そんなっ!」

 柏野さんがやったっていうのかよ!

 嘘に決まって……。

『逮捕された柏野容疑者は容疑を認めているとのことです』

「容疑を認めているって……こんな事って!」

 哀來も俺もかなりショックだ。

 そういえば柏野さん『復讐したい』って言っていたからな。

 でもそれは狙撃事件の後だったな。だったらもう復讐は済ませているはずだ。

「どういう事だ……」

 思わず口に出してしまった。

「小夜様……柏野が、柏野があああああぁぁぁぁぁぁ!」

 哀來はとうとう泣いてしまった。なんせ大光より親しかった人だったからな。

 俺も復讐生活の中で唯一の見方だったからな。

「……哀來。しばらくしたら行かないか?」

「……もしかして」

「ああ、留置所にさ」

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