極太レーザー

雲乗リュウカン

極太レーザー

 俺はテレビから目が離せなかった。


『チキュウジンヨ。ワレワレハ、オマエタチヲ、ホロボシニ、キタ。マズハ、コノダイチカラ、ケシサッテヤル』


 くぐもった片言で冗談みたいなことを言ってるのはニュースのリポーターじゃない。ライブ映像の真ん中に映ってる、空に浮かぶばかでかいUFOからその声は発せられていた。

 これが作りものじゃなければ、UFOの真下のブラジルは超ピンチだ。


「たいへんなことに、なってるねぇ」


 隣でテレビを観ているおばぁがしみじみと呟く。いや、おばぁ、そんな他人事みたいに言ってる場合じゃないさー。地球人滅ぼすとか言ってるし。

 そのときUFOの底面全体が白く輝きだした。電気みたいにスパークしたかと思うと、光が極太のレーザーになって落ちてきた。画面が白一色に染まる。

 映像が途絶えた。光に眩んだ眼をこすりながら、俺は慌てて何も映らなくなったテレビの角を叩く。


 直後、俺は死んだ。

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