第9話 マウンティングってやつ 3

 うちとしては、どうしても譲れない事があって、それに対しては認めた上で謝罪があった。ただ、その部分だけで40分もかかった。なんでやねん。


 謝罪があったそのすぐ後に聞いたこと。

 近づいただけでいきなり殴られた事があることについて。それは「殴る理由」に含まれるらしい。理由は結局、「あるべきではない殴って良い理由を、他人の行動に責任転嫁している」というもの。結構そうなるのね。

 そりゃまともな話合いになるわけないわな。


 向こうの言い分の中には意味不明の言動が多くて、どれもこれも辻褄が合わなかった。理解不能の事が多いこと多いこと。件のマウントの超大作も然り。

 「なんでマウンティングをあのタイミングで送ってこれるんだ?」とか、「自分の子も暴力受けた事があるのに、なぜ私達の気持ちが分からない?」とか。なんなら、うちの子が「もう遊ばない」と宣言してたみたいですが、それにも逆ギレしてた。そこは怒るとこじゃない。重く受け止めるとこだぞ。

 書いてないけど、他にも何でそうなる? ばかりが沢山あって、本当に分からなかった。


 ついでに、普段のやり取りもいろいろ鼻についてた。

 話しをしてたら、根拠の分からない謎のセミナーが突然始まる。でも内容は、割と誰でも知ってると思われる事。大した事はない。むしろ真逆の事を聞いた事すらあるようなのもあった。

 せめて面白ければまだマシだけど、上から偉そうに物を言い、わたしが何も知らない体で喋る。面倒だったし興味がなさすぎて聞き流してたから、残念ながら内容はほぼ覚えていない。

 放っておいたらエスカレートして、わたしの事にいちいち口出しをして、さらにうちの子供の悪口までわたしに言い始める始末。完全に喧嘩売ってる。結果、怒ったけど。

 もともと殴ることについて申し入れはしようとしていたけど、鬱陶しいからいっそ切ろうかな、とも思っていた。


 さて、意味不明の行動。初めさっぱり分からなかったけど、これら全てが実はマウントだったと考えたら一応辻褄は合う。


 そもそもわたしは人付き合いにおいて勝ち負けで測ってない。だから、わたしはマウンティングに気付いてすらなかった。さらに聞き流してたから、たぶん思い通りの反応ではなかったのでしょう。それでエスカレートして子供をダシにした。

 でも、見下してマウンティングの材料にしてたはずの子にすらいろいろ突っぱねられて、やっぱり思い通りにはならなかったのだろうけど。


 この推測が正しいなら、ギャグにもならんわ。でも残念ながら、マウントと考えたらやっぱり辻褄は合う。そりゃあ、わたしらの気持ちなんか分からんわな。そこは納得した。


 主な論点は「殴ることに対してどう対処するか」だったことに、反論として送られてきた件の文章。これは前回も書いたけど、マウンティングそのもの。むしろ証拠。嫌がらせの証明を自ら送って来た。


 何だ。はじめからマウントの事しか考えてなかったわけだ。だから全く関係ないわたしへの批判や子供の悪口で、無理やり反論してたわけです。やっぱり話なんか通じるわけがない。

 もともと、論点のすり替えなんてまともに反論できない人の常套手段だと思ってた。けど、今回の事でマウントの場合もある事が判明。そこまで突き止めたらすごくスッキリした。


 殴った子に対するすごい違和感も、親の思考の影響を受けているからだろうな。もしくはよく似ているか。どちらにせよ、親子で同じことしてる。だからすごく気持ち悪かった。幼い分、さらにだだ漏れだったんでしょうね。



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