第16話 壊れた救世主

ユキの世界……。

労働は義務化された、貴族制の撤廃。

労働を拒否すれば投獄である。

犯罪には軽いも重いも無い…。


魔法力があれば、ゾンビ化して魔法炉へ。

無ければ、魔石を埋め込まれ、死ぬまで強制労働である。

魔石は一定の敷地内を出ると即座に破裂する。

魔石の採掘場などの重労働に従事することになる。


一見すると、平和な王国だ。

普通に生活していれば、魔法炉の恩恵を受け豊かな生活を送れる。


これは…平和か…ユキよ……。

タケは採掘場の警備を任されていた。

もちろん名を変えて。

綺麗なのは表面だけ。

水面下は地獄だ……ユキに逆らったものは、その家族までココに送られてくる。

大人も子供も…男も女も…関係ない。


バウンッ!

今日も、タケの前で人が破裂する。

自殺だ……。

楽になるにはソレしかない。

「これが…平和?」

タケは壁を思い切り拳で殴った。

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