第11話 新王制

 ハサイ王の葬儀の翌日、シュウ王も逝く。


 あるいはユキが手を下したのかもしれない。


「さて…困りましたな、ユキ様、王の後継はいかがしましょう?」

 シュウ王には子供はいない。

 後継者となると…親族から選ぶか、あるいは側近から選出することになる。


「王の死は、1週間伏せてください……その間に後継者を選出しましょう」

「お言葉ですが…ユキ様が…というわけにはいきませんか?」

 大臣が訪ねる。

「私が……とんでもない……私は出生すら定かでない卑しい身分…王など、誰も納得しないでしょう……」

「そんなことはありませんぞ!ユキ様が内政をまとめておること…もはや周知の事実……むしろシュウ王より…」

「大臣!」

 何事か言いかけた大臣をユキがいさめる。


「失言でしたな……しかし、お考えください…あなたがその気にさえなれば、反対するものはおらないでしょう」

「大臣…私は、王の器となるべき人物に声を掛けるつもりです…彼ならば、良き王となりましょう…私は、今まで通り、影から王を支えるつもりです」

「ユキ様、あなたという人は…解りました。この件、お任せいたします」


 ……………………

 3日後、ユキはタケの前に姿を現す。

「久しぶりだ……タケ」

「ユキ」


 ユキはタケのもとで、2日間を過ごした。

「ありがとうタケ……キミのような男こそ、王に相応しいのだよ……引き受けてくれて助かる」


 ユキはタケを王とした。

 新王制の名簿を作成しタケに見せる。

「ユキ……本気なのか?」

「あぁ…これでいい」


 ユキの名はソコに書かれていない……。

『シュウカ』はタケを王とした民主主義国家として生まれ変わった。


 そして、ユキは王宮を去る。


 ユキが再びタケの前に表れるのは、それから5年後の冬。

「乱世……再び!」

 ユキは『シュウカ』に刃を向けるのである。

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