99%の才能と1%の日常Life

@00911

第1話

初めに、一つだけ言っておく、この世界は才能の有無が自己の世界に大きな影響を与える可能性があるという事を…。



ー2050年、日本の少子化問題は歯止めがかからないまま遂に15歳未満の人口比率が6パーセント代にまで低迷していた。



当時の日本政府は、この状況を打破すべく様々な案を発案、施行していったものの特徴的な効果は無く、全て失敗に終わった。



しかし、このままの状態を看過してしまっては将来の人口が減り続けていく事は誰が見ても当たり前である。



政府が用意した対策案が失敗に終わってから8年後

の2058年。



新たな対策案が持ち上がった。



それは、これまでに世界各国でも類を見ないほどの差別的な案だった。



「突出才能者選抜育成基本法案」これがその名である。



この名からしていかに世界各国で類を見ない法案であるかがお分りいただけるであろう。



そう、学生らの完全才能分離型の教育への転換である。



これまでの人類史の中で子孫つまり子供達を法律上において才能の有り無しが認定されてしまう時代があった事はまずこの国の中ではない(もしかすると、紀元前とか中世ヨーロッパ等であるのかもしれないが)。



一方で、 基本法自体の内容は意外にもあっさりしたモノだった。


まず、どのようにしてその子供に才能が有るのか無いのかを判断する方法を説明すると、小学校3年次と6年次の終わり頃にテストを実施するという至極どこにでもある学力調査の様な様相を呈している。



しかし、このテスト自体ただの紙につらつらと自分で出した答えを書くわけではない。



確かに基礎的な学力を図るテスト項目もあるのだが、これ以外にも小学生からしてみれば多すぎる程の

項目が存在する。



例に出せば、採血検査、思考時脳波検査、身体能力検査、パズル組み立て式検査(知能指数測定用)

が挙げられる。



ただ、これ以外にもまだテスト項目があるのだが、それは敢えてこの段階では説明しない。



これらの検査項目を小学校3年、6年は1週間に渡って行い、それによって得られた結果を3つの部門に分け国が極秘にしているデータや資料を元にS〜Dでランク付けを行い、一つでもSランクに該当するなら才能有りと判断される。



ここで才能有りと認められた生徒は、一等星(ファーストクラス)と世間では総称された。



このSランクをとるという事は異常に難しいため、一つだけで才能有りと判断される事も難しくなる。



なので、才能有りと認定されるのは全国で毎年3年次で約500人、6年次で約1000人程しかSランク認定されない。



そして、ここで認定を受けた生徒は中学高校共に国が定めた専門クラスを持つ中学・高校に進学する事が義務付けられ、特に理由がない限り進学を拒否した場合には罰金が発生するという態勢である。



因みに、前に記した3つの部門を紹介すると、「学問的部門」、「身体能力的部門」、「特殊分野部門」である。



補足だが、特殊分野は超能力などのオカルトじみたものではない。



以上が、「突出才能者選抜育成基本法」の大まかな概要である。



2058年当時の政府内では少子化問題にこの基本法がどのようにして関わってくるのかわからないという声も上がっていた。



しかし、何かしらの事でも手を打たなくてはいけないという日本政府の不安と焦りが重なり合い、翌年の2059年に早くも施行された。



そして、時は過ぎ行き2076年ー。 つづく








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