第5話

 ――お掃除終了。5-1教室には、蒼佑と波、私の3人が残ってる。

「おジャマかな、私は」

 ふざけて、波が言った。

「ううん。波ちゃんもいて」

 ここだけ聞くと、まるでホントに女の子。もちろん、蒼佑の言葉ね。

「いいの?」

波の問いかけに、

「うん。もう一度、2人にはお話しするよ。その辺でいいから、座って聞いてね」

 言われた通り、なんとなく自分の席に着いてしまう。

「千成。波ちゃんにはお話ししたんだけど。ボク、障害持ってるんだよね」

(性同一性障害、ですね)

 心の中で答える。そして、予想通りのカミングアウトが成された。もちろん、私も受け入れるよ? 恋愛感情はないけど、保育園からの親友だもん、蒼佑は。それに。励ましたいし、応援したい気持ちは、決してウソじゃない。

 そんな内容を蒼佑に伝えたら、明らかにほっとした顔で、胸を撫で下ろしてる。

「良かったね、蒼佑くん。千成も味方だよ?」

「うん。本当にありがとう、2人とも」

 再び、あの笑顔。かわいいなあ、もう。だけど、こうして改めて見てみると。私よりも女の子してるよ、蒼佑。持ってる雰囲気とかがね。難しいことは、まだまだわからないけど。蒼佑が、本当の意味での女の子になれればいいなあって。思ったんだ。きっとこれは、波も同じだろうな。

(力になるし、応援してるよ)

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