　雪が降る。

　寒冷前線が通過する影響らしい。

　人間の世界に来るようになって半年足らずのみづきさんはもちろん雪を初めて見る。

　冷たくて、触れるとすぐにとける雪に珍しくはしゃいでいた。

「すごいぞ！　仙太郎！　話には聞いていたが、これはすごくふわふわなのに冷たくてきれいだ！」

「うん」

「ああ、ういのう……すぐにとけてしまう……うむ、うむむ……あうぅ……何とかぎゅっとして愛でたいのだが……」

「うん……」

　ぼくからしたら、ほっぺ真っ赤にして降る雪相手にあっちこっち走り回ってるみづきさんの方がかわいいと思うのだけど。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい