第六夜 悪魔と天使

「天界の考えることなんて、あたしに解るわけないじゃないですか。相手は見習いですから、研修替わりにでも行ってこいって言われたんじゃないですか?あたしみたいに。アッ!」


「今なんつった?」

ボクは、それを聞き逃さなかった。


「何にも言ってませんよ★」

アリスが慌てて誤魔化そうとする。


「いいや確かにハッキリ聴いたゾ!おまえも『見習い』だってな!」


「あちゃーっうっかり口滑らしちゃった★」

あちゃーじゃない!


「薄々感づいてはいたけどな。道理であまり悪魔らしくないとは思っていたよ。見習い天使と張り合うのも納得だしね」


「サタン様には内緒DEATHョ★」


「ボクからは絶対会いたくないし、言わないよ!」

これからサタン様に来られてもむしろ困る。サマー・キャンプが、それこそ黒ミサやサバトの場になってしまいそうだ。


「まぁ、いいや。どうせ今年の夏休みは、夏期講習くらいしか予定がなかったから、いい息抜きにはなるだろう。大体、悪魔対天使の戦いなんて、映画でもなければそうそう見られるもんじゃないしな。」

ボクはポジティブに考えることにした。


「そうですよ♪先の大戦では、ひとつの銀河系が消滅しちゃいましたからね☆」


「嬉しそうに言うな!それマズいだろ!見る前に自分も消滅しちゃうじゃん!」


「大丈夫ですってば。何のためにあたしがいると思ってるんです?ご主人たまが消滅しても、ちゃんと復活させてあげますョ♪」


「銀河系が滅んでるトコに復活させてもらいたくないよ!永遠に安らかに眠らせてくれ!」


「ダメですよん。ご主人たまはあたしと契約して、地獄の底まで一緒に行ってくれないと★」

彼女はニッコリ微笑んだ。


そんなお誘いは全然嬉しくない。




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