第3話 やはり先輩は胡散臭かった

「見てたでー兄さん。えらいもったいことしてるやないの」

関西弁の胡散臭そうに話しかけて来た男に警戒し、

「はあ。」としか答えなかったがこちらを気にすることもなくその男は話しかけて来た。

「まあいいや、兄さん。そんなに警戒せんでもええで。」

「まあ確かに胡散臭いわな。突然話しかけて来たらな。俺もな自分ら、合コンしていたやろ。だから俺もそこに交ざらせて貰おう思て中に入っていたんや。もちろ俺は別の大学で自分らの英語のサークルのメンバーでもないけどね。」

「え〜と」正直意味がわからない。

「簡単に言うとやね。この辺の大学街で学生が女の子と多人数で合コン出来る店は決まっているんや。その店に行けばどこかの大学生が合コンしてるんやけど、しれっとメンバーの振りをして紛れ混んでたら意外とわからないもんやで」

「それってただ食いって事ですか」

「兄さん、やっぱりおもろいで、ただ食いよりも何で知らない飲み会に参加してるねんとツッコミ入れんと」

「はあ」

「そんなこと言うてたら、ツッコミの厳しい大阪で生きられへんで」

「まあええわ。それよりも兄さん、一言も喋らずにおったやろ。俺も適当な子とメアド交換したし、このまま2次回に行ってサークルメンバーでないことがばれるんも嫌やし抜ける機会をうかがっていたら同じように抜ける奴がおったから後をつけてしまったで。君は忍者の子孫かと思ったわ」

「それで僕に何の用でしょうか」

僕の警戒心はマックスだ。

「兄さん見てたらな。昔の自分を見ているようでな。俺が兄さんをモテる男にしてやろうと思て、こうやって声を掛けたんよ。安心してや」

先輩のセルフは全然安心出来なかった。

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