世界を救う納豆――センス・オブ・ネバンダー! 納豆くいてー

世界の脅威から世界を救うべくたちがった少女の物語!
これだけ書くと、まぁ良くありがちな話だが、侮るなかれっ――この物語は世界を救うのに、なんとっ納豆を使用しているのだ。

これだけ書くと、何だかコメディタッチのおちゃらけた話しに聞こえるが、再び侮るなかれっ――この物語は、めちゃくちゃクソ真面目に、納豆で世界を救おうとする少女の懸命さが描かれているのだ。

まず、納豆で世界を救おうという設定だけでセンス・オブ・ネバンダー(ワンダー)なのだが、本作ではその設定の情報量がハンパない。納豆や菌に対する薀蓄も豊富で、作者の見識の高さがうかがい知れる。

物語のタッチは、なかなか全貌を明かさないホラータッチともいえる描写で、忍び寄る沼の恐怖が淡々と書かれていて非常に読ませる。細部に伏線が張られ、考察が練られ、オチもしっかりしている。手堅く、上手くまとまりすぎている帰来はあるかもしれないが、非常に素晴らしい短編だ。

しかし、読者に置かれては注意していただきたい――

きっと、お腹が減って納豆を食べたくなってしまうから。かくいう僕は、この短編を読んで三度納豆を食べた。冷蔵庫の中を確認してから読書に臨むことをおすすめする。

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