第13話 救援

『NTー21部隊、東出。青山隊長が救護車に乗り込みました。まだ救援必要な場所ありますか?』

 無線をずっと聞いてなかったので状況がわからない。


 そこへ、駆け込むように、無線が入いる。

『こちらNTー19部隊の 坂崎。崖にぶら下がった隊員を発見したのですが、僕の技術では救出は無理です。至急応援を要請します』

 確かこちらにマウスを追い込む前に大きな突き出すような崖があった。すぐにそこに行くと一機そばに飛んでいて確かにぶら下がった隊員がいる。そちらの機体の坂崎とやらに合図をする。そして、すぐに救助するため崖の下から上がっていく。徐々に近づく。機体から出る風やなんかで飛ばしたり揺らさないように慎重に、だけど迅速に高度をあげ近づいていく。この人いつからぶら下がっているんだろう。すごい体力だ。

『こちらNTー19部隊の坂崎。崖にぶら下がった隊員の救助が来ましたNTー21部隊の隊員です。ただ今救出中」

 俺が報告している場合ではないのでさっきのやつが伝えてくれる。

 コツン、足の先が着いた。あと、一息。

 ガン。俺のセイヴァーの肩に完全に乗った音だ。肩に乗った戦闘員はすぐに手を崖から離してしゃがみ込んでいる。

 ここからがさらに難しい。片方に重りを載せて飛ぶことになる。ゆっくり水平を保ちながら進む。俺の機体の肩に乗った戦闘員は手が掛けれる場所に手を掛けている。多分正規戦闘員だろう。さっき救助の要請をしたのは昨日の襲撃の欠員で繰り上げになった隊員だろう。操縦になれていないとセイヴァーでの救助は無理だ。そう判断してすぐに救助を求めたのは賢明だ。

『こちらNTー19部隊の坂崎。 崖にぶら下がった隊員をNTー21部隊の隊員がセイヴァーの肩に乗せて飛行中です。その先に救護車要請します。場所は………』


 ふう、いてくれて助かった。この作業しながら連絡や報告はできない。戦闘員はセイヴァーの肩にまだ捕まってるが体力の消耗は相当酷いだろう。一刻も早く救護車が必要になる。何とか道が見えてきた。あと少しだ。

やっと道へとやって来た。少しずつ高度を落として着陸する。俺のセイヴァーの肩から降りる前に乗ってた奴はヘルメットを取りコックピットのハッチを叩く。俺はコックピットのハッチを開ける。

「ありがとう。助かったよ。機体を破損して上空でセイヴァーから脱出したんだが運悪く崖の先に絡まってね。パラシュートは落として這い上がろうとしたんだが外すのに体力を使ってしまって。海に飛び込むか迷ってたんだ」


 体力ある人だなあ。年は二十代くらいか。黒い短髪に戦闘服を着ていてもわかる体の鍛えよう。あそこから海に飛び込むって、ありえない。健太郎と同類の筋肉バ……いや、肉体派だな。

 そこに救護車が来た。

「じゃあ、ありがとうな」

 救護車に向かって去って行く。元気そうでよかった。相当な体力だな。

「あ、あの。救護車に乗り込んだって報告しましたんで」

 後ろから声をかけられてビクッとする。ああ、さっきの坂崎君だな。体つきは細く長めな髪型、一年生っぽいな。昨日正規戦闘員になったのでなくても、春から新しく正規戦闘員に任命されたかどちらかなんだろう。

「あ! さっきの人の名前聞いてなかった。報告できないな。ごめん」

「いえ、救護車で聞かれるでしょう。来てもらって助かりました」

「いや、それよりまた救助に向おう」

「は、はい!」


 お互い機体セイヴァーに乗り込む。まだ、救助が終わってないだろう。

 無線で状況を聞こうとすると無線が入ってきた。


『司令部より各機へ。ただいま救援要請全て受け入れ完了しました。これより、そちらで救助必要な機体がないか目視で確認願います。こちらからも救助隊が向かっています。それまでお願いします』

 昨日もこうだったんだろうか。俺はずっと病院にいて知らなかったが。

『こちらにNTー4部隊長の桜田だ。いまから残りの部隊を率いて救助者の捜索に入る。一旦海の上に集まってくれ』

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