第八話

東条にはがきを出してくるように頼まれ、俺は大戸と一緒に途中まで行くことになった。

「大戸は文理選択どっち選んだんだ?」

「ひゃいっ?....えっと、理科です」

「そうなのか。確かに化学とかできそうだもんな」

「いや、生物を取るつもりです」

「...生物では下ネタはやらんぞ?」

「し、失敬な!」


「その、ところで、やっぱり桜田さんはロリとかは嫌いですか?」

「なんだよ突然...そういう話は部室だけにしとけ」

「わ、私は真剣に聞いてるんです!」

「あ、お、おう、ひとまず落ち着け。近い」

「あっ、ご、ごごごめんな...さ...い」

「「.......」」


「で?ロリが嫌いかどうかだっけか?」

「はい」

「別に嫌いとは一言も言ってないぞ」

「え、でも...」

「どちらかと言えば、ばいんばいんの大人のお姉さんの方がいいってだけだ。それに、実際には理想通りの相手なんていないし、相性の面もあるしな」

「な、なるほど」


「で、では、場合によってはロリも可...と、そういうことですか?」

「なんかそれだと俺が変態みたいじゃねえか」

「私も変態なのでお互いさまです」

「意味わかんねーよ」

「いいじゃないですか」

「...ま、いいけど」


「やっぱり、変態な女の子は嫌いですか?」

「また質問かよ。大戸、なんかいつもと違うぞ?」

「そ、それよりも、答えてください!」

「答えるこっちの身にもなってくれ」

「私なら喜んで答えますよ」

「そうだ、お前は変態だった」


「別にそこらへんはどうでもいいだろ。思春期だから興味ない方がおかしいってのもあるし、場の分別がありゃいいんじゃねえか?」

「...そういうものですかね」

「そういうもんだろ」

「では、変態の女の子と付き合ってもいいということですね?」

「人によるがな...お前、ほんとなんか今日変だぞ」

「変態です」


「...私、ご覧の通り変態じゃないですか」

「どこからどう見ても完璧な変態だな」

「でも、みんなの前でそういうこと言ってるわけじゃないんです」

「そりゃ、言ってたらそのうち事案になるぞ」

「今でさえも、言ったら引かれるのは目に見えてますからね。心を許した、あの部活でだけ、私は私でいれるんです。何も気にせず、普段押し込めてる変態な部分を晒け出せるんです」

「いい迷惑だけどな」


「そんな醜い姿を晒しているにも関わらず、桜田さんはツッコミはするけど、引きもせず、普通に接してくれるじゃないですか」

「まあ、そう言われればそうなのか...?」

「それに、この前私が風邪を引いた時だって、私が変なこと言っても引きもせず、私に優しくしてくれました」

「...お、おう」

「それが、私たまらなく嬉しかったんです」

「何に人生の喜びを感じてるんだよ」


「お、郵便局着いたやん。ポストは....と。あったあった。投函完了~。じゃあな、大戸」

「...」

「ゲーセン寄って帰ろかなー」

「あ、あのっ!!!」

「?」


「あの、私、そのっ...」

「ほんとさっきからなんなんだよ、俺だって忙しいんだぞー?言いたいことあるならさっさと言え」

「こ、心の準備が...」

「まさか俺をこの場で押し倒そうと....!?」

「私そこまでド変態じゃありません」


「言いたいんです。言いたいんですけど、もし言ったら私たちの関係が壊れちゃうかもしれないんです。だから...」

「...」

「やっぱりいいです」

「言えって」

「え?...」

「俺たちの関係がそんなにすぐ切れるもんなら、俺はここにはいねえよ」


「...じゃあ、言っても今まで通りツッコミして、よそよそしくなく普通に接してくれる?」

「当たり前だろ。何回も言わせんな」

「私...」

「...」

「桜田さんのことが好きです」


その時、東条たちに説教してやろうと思ってたのも、今の一瞬で頭からぶっ飛んだ。

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