40 アロマのお店②・成人です②・家計簿

【アロマのお店②】


 メイドさんがあまりにくんくんしてるので、店員さんが声をかけてきました。

「こちらのにおいはいかがですか?」

「う〜ん」

 メイドさん、お好みでないようです。


「では、こちらなんていかがですか?」

「う〜ん」

「こちらは?」

「う〜ん」

 どれも、メイドさんのお鼻には合わないようです。

 店員さんも困ってしまっています。


「メイド、気に入ったのがなかったようだな」

「全部おトイレのにおいがします」

「そんなこと言うな、失礼だろ」


 五月先生、メイドさんを残して店を出て、おトイレに行きました。

 くんくん、くんくん……。

「ホントだ。おんなじにおい……」




【成人です②】


 メイドさん、今日のお出かけはバス移動です。

 チャリン……。

 ICカードを忘れてしまっためいとさん、小銭を料金箱に入れました。

「料金多いよ」

 運転手さんが言いました。


「そんなことございませんよ。ぴったりです」

「子供は半額。多い分戻すよ」

「わたくし成人です」

「いいんだよ。さ、お金」

 メイドさん、困ってしまいました。


 タイミングよく、次に乗ってきたお客さんがご近所さんでした。

「おや、五月先生んとこのメイドさんじゃないか」

 メイドさん、事情を説明します。


「わたくし成人です!」

「れっきとした成人です!」

 ご近所さんも保証します。

「失礼いたしました」 




【家計簿】


 メイドさん、居間で電卓を叩いています。

「これは食費、これはわたくしのお小遣い」


「メイド、何してる?」

 五月先生が気がついて、声をかけました。

「家計簿をつけてるのでございますよ」

「ほー、感心だな」


「ちゃんと記録しておくと、節約もできますし……れ?」

「ど、どうした?」

「い、一円足りないでございます!」

「細かっ!」


「一円を笑う者は、一円に泣くでございますよ!」

「はい……」

 お金は無いより、あったほうがいいのです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る