25 里帰り①・里帰り②・里帰り③

【里帰り①】


 列車に乗って二時間あまり。

 メイドさん、実家に着きました。

「母様、ただいまです」


「おや、愛糸めいと

「お久しぶりでございます」

「お前、やっぱりなんかやらかしたんだね」

 なんか、豪快な母君です。


「は?」

「やるやるとは思ってたんだ」

「何を?」

「とうとうご主人様を怒らせてクビに……」

「母様、違います」

「じゃあ逃げてきたのかい?」

 母君、何を根拠にそうなる?


「違いますです。父様のお墓参りです」

「ああ、忘れてた……」

「母様……」

 元気でのん気なお人のようです。




【里帰り②】


 トゥルルル〜、トゥルルル〜……。

 めいとさん、お電話どこへでしょう?

 カチャ。

「もしもし、五月様?」


 五月先生にお電話です。

「大丈夫でございますか?」

「ん、平気」

「お部屋のお片付け、できていますか?」

「ん」


「洗い物はその都度するのでございますよ」

「ん、してる」

「五月様ぁ〜」

「ん?」

「ちょっと淋しいです……」


「逆ホームシック?」

「みたいです……」




【里帰り③】


 めいとさん、お花とお線香を持って、畑道はたけみちを歩いています。

「よう愛糸、久しぶり」

「げっ! ヒロシ」

 めいとさんが野球のゲームで一回も勝てなかった幼馴染みです。


「変わってないなぁ、相変わらずちっこくて」

「ぐっ!」

 少々口も悪いです。


「お前、今東京にいるんだろ?」

「うん」

「仕事は何してる?」

「メイド」

「は?」

「メ・イ・ド」

「めいとがメイド? がはは、めいとがメイド」


「うぅ〜、大っ嫌いだ!」

 ヒロシくん、なかなかの曲者くせものです。

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