22 すずめがいっぱい・切符・東京駅①

【すずめがいっぱい】


 五月家の庭には、いろんな鳥も飛んできます。

 すずめとか、カラスとか、ハヤブサとか。

 庭先での、五月先生とメイドさんの会話です。


「ねぇ五月様、虫を狙ってでしょうか……」

「ん?」

「最近、すずめがやたらと土をほじっています」


「ふむ、弱肉強食、それもまた自然の摂理だ」

「またそんな吞気なことを……。この家が、虫や鳥に乗っ取られても良いのですか?」

「そ、そんなことはないと思う」

 ええ、絶対ないと思います。


「わかりませんよ〜」

「ま、まじっ!?」

 いえ、大丈夫だと思います。




【切符】


 五月先生とメイドさん、今日は電車でお出かけです。

 環状線を半周しました。


「メイド、降りるぞ」

「あい。あ、あれっ? 切符……」

「私が持ってる」

「そうでございました。よかったです」

「なくすから持っててくれって、お前が言ったんだぞ!」

「へへへ……」


「お前もICカードにするか?」

「あい」

「I see」

「……今のダジャレ?」

「……ただの英会話」

 五月先生、今のは確実に狙ったでしょ。


「五月様、I seeってどういう意味?」

「もういい」

 メイドさんは英語が苦手です。




【東京駅①】


 おふたりが着いたのは、東京駅でございます。

「東京駅、久しぶりでございます」

「新しい南口だ」

「噂のドーム天井でございますね」

「ああ」

「きれいです……天使が舞い降りてきそうです」


「行くぞ」

「もうちょっと……」

「見てても天使は降りてこないぞ」

「もうちょっと」


 メイドさん、見とれています。

 ほんとにきれいですね。

 どこか異国にいるようです。


「置いてくぞ」

「あ〜ん、五月様待って……」

 あ、こけた。

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