09 パソコン・夕焼け・花占い②

【パソコン】


 カチャカチャ、カチャカチャ……。

 カチャカチャ、カチャ……。

 珍しく、メイドさんがパソコンに向かっています。

 五月先生のお古のノートパソコンです。


「今日はなんだ? メイド服の通販か?」

「な、なんでもございませぬ」

 パタン……。

 おや、パソコン閉じちゃって、そっけないお返事です。


「……なんか時々、避けられてるような気がする……」

 ええ、時々こういうことありますよね。


「なんか、さびしい……」

 五月先生、プライバシーの侵害ですから、見ちゃダメですよ。




【夕焼け】


 今日は気持ちの良い、快晴の一日でした。

 メイドさん、お庭に干した洗濯物をしまっております。


「五月様見てぇ、夕焼けがきれいでございます」

「お前はなにを見てもき・れ・いだな」

「てへ。でも、ほんとにきれいなのでございますよ」

 ほんと。

 五月先生、ほんとにきれいな夕焼け小焼けですよ。


「どれどれ。ほー、きれいだな」

「ええ」

「明日も晴れるといいな」

「あい」


 大丈夫、明日の予報も晴れですよ。

 それにしても、メイドさんの影は伸びてもちっこいです。




【花占い②】


「……ない、……なぁ……」

 メイドさんです。

「花占い、したいなぁ」

 お庭の花を見ながら、ぶつぶつとつぶやいています。


「来る、来ないか?」

 五月先生に聞かれていたようです。

「五月様には関係ございませぬ」

「また……」

 最近めっきり増えた、メイドさんのそっけないお返事です。


「このお花なら花びらいっぱいですねぇ。何枚かな?」

「数えたら意味ないって」

「ツン」

 あらあら。


「・・・」

 五月先生、寂し気です。

 メイドさんはツンデレさんではないのですけどねぇ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る