やさしく、ほどけていく。

「こんがらがって」しまった縁の糸が、様々な人たちとの出会い、結びつきで、するすると温かく、ほどけていく……。

それは、二人で食べるパンの味で。寂しい気持ちにとらわれた日に、ふわりと出迎えてくれた笑顔で。一歩を踏み出す、ささやかな勇気で。

誰もが時にとらわれ、「こんがらがって」しまう人の縁が、世界を円く、やわらかに包みこみ、一人の内気な女子高生を、その内側へ誘います。

縁を繋ぎ、結び、結ばれながら、導かれるように進む先で、どんな景色が見えるのか。
主人公と一緒にゆっくりと歩きながら、それを追いかけた読み手の心も、きっと、じんわりと温まるはず。
やさしい物語でした。ぜひ、ご一読ください。

その他のおすすめレビュー

一初ゆずこさんの他のおすすめレビュー674