第2話真実と嘘

「なあ、ウルトラマン、て本当に居るの?」


 長男(小学一年生)が聞きました。


「……」


 どう答えようかと私が詰まったとき。


「おるわけないやん」(父)

「あんた、アホかいな。テレビが本物やと思っとったんか?」(母)


 全く。団塊世代は容赦がないな!


「そうなん? ☆☆、テレビはウソっこやけど、でもホンモノはおるんやと思ってた」


 私の両親の答えに、大きな声で驚く長男。ちょっと切ないです。


 ああ、と私は思いました。

 主人から言われていたのになあ。


 いつだったか

『月にウサギは居るの?』

 と長男に聞かれた時。

 私がおらんおらん、と答えましたら、それが一緒にいた主人の心の琴線にふれましてね。


『そこは、ウサギはいる、でいいんだよ! どうせ、大人になったら、アタマ固まっちゃうんだから子供のうちは自由に想像……』(と、面倒臭そうな語りが始まりましたので、私は適当に相槌を打ち聞き流しました)


 その時に、ああ、まあそうやなあ、次は答え方に気をつけよう、と主人の考えを支持することに決めたのですが。


 私の両親にそれは見事に打ち砕かれました。


 うーむ。

 私の両親は昔から、サンタの存在はガン無視で


『プレゼント、何買って欲しいか、言い?』


 と、クリスマス前に直接、姉や私に聞いてきたような両親ですからね。(合理的?)




 両親がその場所を離れた後、長男は私にもう一度聞いてきました。


「なあ、お母さん、本当に居らんの?」


 おお! 挽回のチャンス?


「……いや、居ると思うで。似たようなんは。でも、そういうのは秘密にしとかなあかんやろ。だから、居らへん、て言わなあかんねん」

「なんで?」

「悪者にバレたらあかんやろ」

「あっ、そうか! せや!」


 上手くいったようです。

 しかし、長男は追い打ちをかけてきました。


「なあ、ウルトラマン、て本当はどこに居るの?」


 う……なんか、こういうネタの漫画何処かで読んだなあ。地球防衛軍はどこが所有しているのか? という。

 漫画では確か……。


「こ、国連」

「国連、てどこにあんの?」

「べ、ベルギーのブリュッセル」


 はい、ブー。(そこにあるのは欧州連合EUの本部です)


「ベルギーって?」

「ヨーロッパのチョコレートの美味しい国」

「そこに秘密基地があんの?」

「いや。基地は……無人島とか、北極とか、南極とかにあるんちゃう? 誰も見つからんとこ」

「ふーん……」



 **********



 まあ、絶対に居ないとは思うけれども、でも実はどこかにいるんじゃないか? ……と、淡い期待を抱きたくなる気持ちは分かります。


 私も子供の頃。


「マーマレー◯ボーイの遊くん」みたいな男の子は絶対居ないとは思うけど、日本のどこかに一人ぐらいは居るかも……とかね。


円舞曲ワルツは白いドレ◯で」に出てくるサジット王子のような人はまあその辺には居ないけど、でも大人になったらいつか出逢えるんじゃないか……とかね。(←重症)



 まあ、ほんとに大人になったら、そんなことあるわけがないってことが、嫌ってほどホントにほんとに分かりますからね!


 だから、子供のうちに夢見れるのが花なんでしょうね。――



**********



 ちなみに、主人にこの話をした時の答えは。



「バッカ、国連はニューヨークだよ! それは、ノーベル賞のところだよ!」



 はい、ブー。

(……ノーベル賞はスウェーデンのストックホルムだぜ?)




 ……ふ。お互い様だぜ。





※追記 


私の母に国連の本部は何処にあるのか、と問題を出しましたら。


「スイスのジュネーブ、やろ?」


はい、ブー。

(そこは世界保健機関WHOの本部です)

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