第16話 綾ちゃんとデート!?


今日は綾ちゃんの誕生日。


まさかデートをお願いされるなんて。


今日は白いレースのワンピースを着てきた。


綾ちゃんはおしゃれだし、ださい格好はできない。


「あっ!みっちゃん!おーい!」


あ・・・


「綾ちゃん!」


駅で待っていると、綾ちゃんが来た。


「ごめんね。待った?」


「だ、大丈夫だよ!私が待ち合わせ時間より早く着きすぎちゃったのが悪いんだし・・・」


わ・・・


綾ちゃんは髪をいつも通りポニーテールをしているが、いつものシュシュはなく、今日は黒いベストを白のVネックのカットソーの上に羽織り、デニムパンツを履いている。


男子!!


「今日は男子モード・・・」


「だって、みっちゃんとデートだし」


え・・・


綾ちゃんはウィンクしながら言った。


やっぱりまだ慣れないなぁ、男子モードの綾ちゃんに。


高宮くんや姫島くんと違っていつも女の子みたいだからなぁ。


「さて、行きますか」


「えっ!行く所決まってるの?」


「うん。みっちゃんと行きたい所どんどん行くよ」


「う、うん!」


綾ちゃんの行きたい所って・・・


「ねぇ、あの人超かっこいい!モデルみたい!」


「本当!背高ーっ」


電車に乗り込むと、綾ちゃんは注目されまくり。


さすが綾ちゃんだなぁ。


「みっちゃんの服、今日超可愛い」


「あ、ありがとう!綾ちゃんは大人っぽくてかっこいいね」


「ふふっ。ありがと!」


ちょいちょいオネエ出ちゃってる!


「こないだは陸斗達とお泊まりしたんでしょ?羨ましいな」


「た、大変だったよ?色々」


とくに寝る時。


「ふふっ。目に浮かぶよ。僕ならみっちゃんに破廉恥な事しないからね!」


「へ?」


「みっちゃん!僕って結構鋭いからね?」


「さ、さすが・・・」


「ふふっ。今度は僕とお泊まり会しようね」


「あ、綾ちゃん!」


もう!!


「・・・動物園?」


「そう!癒しを求めに、ね」


「確かに癒し欲しいよね」


最近バタバタしてたし。


「さ、行きましょうか」


「えっ?綾ちゃん、チケット・・・」


「もうあるよ」


準備早い!


「は、払うよ」


「良いの!デートなんだし」


「でも、今日は綾ちゃんの・・・」


「良いから良いから。さあ、楽しもう!」


綾ちゃんは私の手を引き、中へ。


「わっ!みっちゃん!パンダ!パンダがいるよ!」


「わあ!可愛い!!丸々ふわふわぁ!」


「パンダって何であんなに可愛いのかしら。あのフォルムたまんないわぁ。はっ!今は男子なんだった!」


「良いよ。私は話し方とか気にしないよ?」


「だめ。今は男子だから。僕だって男ってとこ、見せてあげる」


「へ?」


綾ちゃん?


「見て見て!狼がいるよ、綾ちゃん」


「可愛いね。犬よりおっきい。なんかユイユイみたいね」


「えっ?姫島くん?」


「うん。目つきの鋭い感じとか」


「姫島くんが聞いたら怒っちゃうかも」


「写メしてユイユイに送りつけちゃおう」


「あー、綾ちゃん悪いんだぁ」


「あ、みっちゃん!あっちにはカピバラが」


「か、カピバラ!?」


高宮くんが好きな・・・


私達はカピバラコーナーへ。


「わっ!温泉入ってる」


「まさに陸斗ね」


私はひたすら写真を撮る。


「みっちゃん撮りすぎー!」


「だ、だって可愛いじゃない?」


「みっちゃんは本当陸斗ばっかりだよね」


うっ・・・ばれとる。


「高宮くんに送るね、LINE」


私は高宮くんにLINEでカピバラの写真を送る。


(高宮くんはっけん)


私は高宮くんにそう送る。


すると


(すげー可愛い。ありがとう。一緒に温泉入りたい・・・)


高宮くんからすぐ返信が。


私はカピバラと一緒に温泉に入る高宮くんを頭に浮かべて笑う。


「みっちゃんって本当に可愛い顔するよね、陸斗の事になると」


「へ?」


「悔しいな」


「あ、綾ちゃん!?」


「僕とデート中なんだから僕の事だけ考えて欲しいな」


「ふぇ!?」


「僕以外の男子の事考えるの、禁止」


綾ちゃんは私の頬にキスをして言った。


「あ、綾ちゃんっ」


「さ、次はおさるさん見ようー!みっちゃん」


「う、うん」


やっぱり男子の綾ちゃんにはドキドキする。


本当に慣れないや。


「可愛い!おさるさん、赤ちゃんおんぶしてるよ!綾ちゃん!」


「ふふ、本当に可愛いよね。あのボス猿はみゃーちゃんに似てるわ」


「さ、桜小路くんは猿なんだ・・・」


「落ち着き無いからね」


「桜小路くんの扱い・・・」


でも


こうやって動物園ゆったり見て回るの久々だなぁ。


小学校の遠足以来かも?


「ここ、豹もいるんだね?」


「ええ。あたし、豹が一番好きー!超可愛く無い!?」


「確かに猫っぽくて可愛い!」


「ユイユイに言われたんだ。豹に似てるって」


「綾ちゃんが?」


「うん。狙った獲物は逃がさないところとか、ね。僕、肉食系だから」


「へ?綾ちゃんが?」


「そ。今はね、みっちゃんが食べたいくらい可愛くて仕方ないよ」


綾ちゃんはにやっと笑って言う。


ふぇ!?


顔が一気に熱くなるのが分かる。


「あ、綾ちゃん!!」


「ふふっ。顔が赤いよ?」


「あ、綾ちゃんが変な事言うから!」


「何?変な想像しちゃった?」


「も、もう!」


「みっちゃんは僕の事、動物に例えると何だと思う?」


「は、白馬かな?」


「白馬?」


「麗しい感じが似てるなぁって」


「嬉しい!」


でも


さっきは豹っぽかったかもね。



「美味しい!!」


「うん。私のミートソースも美味しい」


私達は動物園の中のレストランで昼食をとる。


でも、良かったのかな。


「ん?みっちゃん、なーに?僕を見つめたりして」


「誕生日なのに良かったの?高いレストランとかじゃなくて」


なんか申し訳ない。


「良いの!高級料理は家でしょっちゅう食べてるし」


しょっちゅう!?


「さすが・・・」


「僕はみっちゃんと一緒にいて、同じ物を見て良いねって言える関係になりたい。お坊っちゃまじゃなくて普通の男子高生の橘綾斗を見て欲しいんだ」


「綾ちゃん・・・」


「まあ、オネエな時点で普通ではないんだけどね」


「今日はたくさん綾ちゃんのワガママ付き合うよ!」


「みっちゃん?」


「綾ちゃんがしてみたかった事叶えよう!」


「うん!本当はね、僕・・・誕生日が嫌いだったんだ」


「え?」


「父さんは祝ってくれないし、いつも何もしないで終わる。でも、今日は違う。本当に幸せだよ」


「良かった!」


綾ちゃんにとって良い誕生日にしてあげよう。


「みっちゃん見て!パンダのアイス!」


「本当だ!可愛いね」


「食べちゃう!?みっちゃん!」


「うん!私はうさぎが良いな」


「可愛い!食べよう、食べよう!」


私と綾ちゃんはアイスを買う事に。


お昼食べたばかりだけど・・・


綾ちゃんはパンダのアイスを買い、私はうさぎのアイスを買った。


「甘くて冷たくて美味しいー!」


「ね!みっちゃんのちょっとちょうだい」


「うん!良いよー!」


「んー!うさぎさんのアイス美味しい!みっちゃんって本当うさぎ好きなんだね」


「うん!ふわふわして可愛いから大好き」


「まさにみっちゃんみたいだよね」


「えっ!わ、私?」


「うん。一緒にいて癒やされるとことかね」


「癒やされる?」


「うん。ずっと一緒にいたいなって思う」


ずっと一緒に・・・


「私も。綾ちゃんや高宮くん、姫島くんとずっと一緒にいたいな」


「みっちゃんの鈍感さん」


「へ?」


鈍感?


「綾ちゃん、うさぎのふれあいコーナーだって!」


「行こっか」


私は綾ちゃんとうさぎのふれあいコーナーへ。


「ふわふわもこもこー」


癒やされるな。


私と綾ちゃんは膝の上にうさぎを乗せる。


「ビクビクしてるね?うさぎさん。大丈夫だよ。怖く無いよ」


私はうさぎの頭を優しく撫でる。


すると


うさぎはウトウトし始めた。


可愛い!!


「みっちゃんに懐いたみたいだね?」


「うん。このまま持ち帰りたいくらい可愛い」


「うさぎさんに嫉妬しちゃうな」


「え?」


「僕もみっちゃんに甘えたい」


「あ、甘えたい!?」


「うん。みっちゃんには甘えやすいからね、僕」


「綾ちゃん、今日変だよ?」


「焦るよ。陸斗も結斗もみっちゃんにガンガン行くし。僕、みっちゃん大好きだから本格的に肉食系男子になっちゃう」


「焦る?」


「僕だってみっちゃんの事、本気で・・・」


「あ!綾ちゃん!綾ちゃんのうさぎさん、綾ちゃんのベストの中、入ろうとしてるよ!」


「え?あ、だめだよ。ベストの中、入っちゃ」


「この子も綾ちゃんに懐いたんだね」


「ふふっ。ありがとうね、うさぎさん」


「もうそろそろ出ないとね」


「うん。寂しいな。僕、うさぎさんとバイバイしたくなーい」


「ごめんね。気持ち良くおねんねしてたのに・・・」


私はうさぎを地面に下ろす。


「さて、そろそろ出よう」


動物園、満喫したなぁ。



「次は何処に行く?」


「近くの公園にボート乗れるとこがあるんだ。行こ、みっちゃん」


「う、うんっ」


ボートかぁ。


私達は公園に行き、ボートに乗る事に。


「たまにはこういうのんびりした休日も良いね、みっちゃん」


「うん。最近バタバタしてたもんね」


ボートは綾ちゃんが漕いでいる。


「あ、あそこに鴨がいるよ!可愛いね」


「本当。和むね」


「綾ちゃんはさ、どうして部活を作ったの?」


「へ?」


「同人もやってるから大変だよね?」


「仲間との繋がりが欲しかったんだ」


「え?」


「家では空気扱いされて、ずっと苦しかった。誰かと繋がっていたかった。だから、部活を作ったんだ」


「綾ちゃん・・・」


「陸斗も結斗も僕と同じ。陸斗は自分が声優になれるか不安を抱えていて、結斗はアニヲタな本来の自分を出せなくて無理して、僕は自分が何者になるべくか分からず悩んでる。同人と商業じゃ勝手が違うからね。みっちゃんは漫画家になりたいけど不安を抱えてる。皆、一緒だよ」


「一緒?」


「夢は違っても、全力で足掻いてる。だから、そんな4人が部活で一つのものを作ったら凄いものができるんじゃないかって」


「うん!私もそう思うよ!」


「皆で成長しないとね」


「うん!」


夢は違っても、皆同じ思いで夢を叶えようと頑張ってる。


前よりも良い漫画が描けているのはきっと皆のおかげ。


「なんかこんなゆっくり綾ちゃんと話したの初めてかもね」


「確かにいつもはあのバカ二人が邪魔するから」


「へ?」


「ふふっ。今日はみっちゃん独り占め」


「ひ、独り占めって!」


「今日は人生で最高の日だよ」


「最高?」


「うん。誰かに誕生日祝ってもらうの本当に久々!」


「良かった!綾ちゃんが喜んでくれて」


「うん!」


綾ちゃんが誕生日に悲しい思いをするのは嫌だったから。


本当に良かった。


ん?


LINEが入ってる。


あっ!


よし。


私はすぐに返信した。


「じゃあ帰ろっか」


「あ、綾ちゃん!」


「ん?」


「夜も私大丈夫だよ!」


「みっちゃん!じゃあ、ディナーを・・・」


「あのね、行きたいとこがあるの」


「ん?」


私達は電車で移動する。


「こっち!」


駅に着くと、私は前を歩く。


すると


「あーやーとーくーん?痛い目見たいようだな?」


「俺もカピバラ見たかった・・・」


高宮くんと姫島くんが来た。


「な、何で2人が!?」


「LINEで綾ちゃんの誕生日って2人にも教えたの。やっぱり皆でも祝った方が良いかなって」


「み、みっちゃん・・・」


「つーか、誕生日なら誕生日って言えよな!綾斗!」


「そうだ。綾斗にはたくさん世話になってる」


「ユイユイ、陸斗・・・」


「ほら、行くぞ!俺んちに宅配ピザとケーキがあっからよ」


「うん!」


「後、桜木独り占めした件については後で詳しく聞かせろ」


「やーん!ユイユイこわーい!」


綾ちゃんの言う通りだ。


この4人で部活を作れて良かったなぁ。


「ピザめちゃくちゃ美味しいわぁ!」


「綾斗、よく食いやがんな」


「ふふっ。美味しすぎるー!」


「た、高宮くん!?タバスコかけすぎ!」


「俺、辛党だから・・・桜木もかけるか?」


「わ、私は大丈夫!」


夜は姫島くんの家でピザとケーキを食べた。


「そうだ。はい!綾ちゃん!誕生日プレゼント!誕生日おめでとう!」


「みっちゃん!」


私は綾ちゃんにプレゼントを渡す。


「可愛い!苺柄のシュシュ!ありがとう!大事につけるよ!」


綾ちゃん可愛いの好きだからシュシュにしたんだよね。


「綾斗、おめでとう。わりぃな。プレゼントは今度・・・」


「えー?じゃあ、チューで良いわよ!ユイユイ」


「うわっ!こっち来るな!オカマ!」


「今は男子だよん」


「アヤユイなんて誰得だよ!?」


綾ちゃんが本当に楽しそうで良かった。


もうすぐコミケ。


皆で頑張ろう!!

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