第8話 斎藤加奈子

「なんか最近、修太郎君の様子が変なんだよ

ね。」


 君塚理恵は親友の斎藤加奈子から相談を受

けていた。付き合いだして間がない、同じク

ラスの七野修太郎が変だと言うのだ。


「どこらあたりが変なの?」


「電話も出ないし、メールもラインも返信な

いから、どうしたの?、って聞いたら、無視

ってか、私の存在に気が付いていないような

感じでスルーされたの。私、何か悪いことし

たのかなぁ。」


「でも、今日の帰りは声を掛けられてたじゃ

ない。」


「それはそうなんだけど、加奈子さん、とか

言って絶対変だよ。付き合う前から、加奈子

って呼び捨てだったのに。幼馴染なんだから

今更加奈子さん、とかあり得ない。向こうか

ら付き合ってくれ、って告白したくせに。」


「そっかぁ。確かに最近ちょっと様子がおか

しいよね。心ここにあらず、って感じで。」


「でしょう?ほんと、この3日ほどは別人み

たいに見える。」


「健太が何か知ってるかもよ。本人に聞きに

くいなら、とりあえず健太を先に締め上げる

ことだね。」


「協力してよ。」


「わかった、わかってる。でも向こうから

告ってきたのに、スルーされると加奈子が

追いかけてるって感じなんだ。」


「それは、まあ、元々ずっと好きだったし、

って何言わせるのよ。」


「ごめん、ごめん。明日にでも健太を拉致

って吐かせよう。」


「うん、ありがと。」


 向坂健太は自身は不在の場所で明日の拉致

監禁が決定したのだった。

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