第5話リリに助けられた

リリに助けられた

8月24日

昨夜は12時に床に就いた。

いつもだったらリリもロッキングチェアの上で寝ているはず。

今夜はリリの様子がおかしい。

ソファのそばをいっこうに動こうとしない。

リリを抱いてロッキングチェアの上にもどし、体をなでながら寝かせようとする。

逃げるようにソファのそばにもどってしまう。

なぜなのかしらと、下をのぞいても何もいない。

わたしは諦めて電燈を消して床に入る。

リリはベッドの下を、すごい音を立てて飛びまわる。

わたしは電燈をつけてリリを抱きかかえる。

「リリ、明日は早くおきなくてはならないの」

「おとなしく寝なさい」

と少し声をあらげて怒ってしまった。

「リリが暴れて眠れないの」と夫に助けを求める。

リリを抱いて寝室に戻ると。

驚いた。ムカデが横たわっていた。

10センチをはるかに超す赤黒いムカデ。

床でぐったりとしている。

リリが何回か攻撃をくわえたのだろう。

リリはムカデをみると、するりとわたしの腕から抜けだした。

ムカデに飛びかかる。

わたしは悲鳴をあげた。

リリはわたしの悲鳴に驚いて飛びのいた。

とっさにスリッパを脱ぎ、ムカデを叩きつけた。

虫ハンターのリリがわたしを救ってくれた。

「リリごめんね」わたしは何度も頬ずりしながら謝った。

わたしがもし噛まれていたら大変だった。

夫が数年前ムカデに噛まれ、夜中に医者に駆けこんだことがあった。

長雨がつづくとムカデが居間まで侵入してくる。

このところ長雨が続いたからだろう。


リリと追いかけっこ

8月26日

室温20度。

8月だというのにどうしたのかしら。

涼しさを通り越して寒い。

風邪をひかないようにと綿のセーターを着る。

それでも寒い。

いくらなんでも暖房は早すぎるでしょう。

ストールを首に巻き付ける。

外は時折激しい雨。

リリが外へ脱出できないので、家中走り回っている。

体力を消耗させようと遊んであげる。

リリと追いかけっこ。

リリはカーテンに隠れる。

身を潜めてこちらをうかがっている。

可愛い。

少し疲れたのかソファでぐっすりお休み。

暴れるときは体力を消耗させるのが一番。

 

リリの狩り

9月18日

しどけない寝姿のリリ なんて無防備なのでしょう。

リリのように、こんなにぐっすり寝てみたい。

リリがいつもより大きい獲物を捕まえて、意気揚々と帰ってきた。

甘噛みなのだろう、口から放すとピョンピョンはねて逃げる。

獲物を追って遊んでいる。

リリのスキを見て獲物を庭の草むらに逃がしてあげる。

リリも可哀想だけど、短い命の獲物も可哀想。

リリごめんね。


目覚まし猫

9月22日

いつもの朝のわたしとリリのふれあい。

わたしが起きるのが待っていられないみたい。

わたしの頭をポンポンたたいて起こすリリ。

外はまだ暗い。

ベッドでうつらうつらしているうちに、外が明るみだした。

ええ!!と気合いを入れて起きる。

窓を開ける。

ああ何と気持ちのいい朝だろう。

涼風が冷ややかに肌に触れる。

澄んだ空気の中、いつもの風景が透きとおってみえる。

木々が風に揺れている。

一気に体が軽くなるのを覚えた。

日中はまだまだ陽射しは強いが、風が爽やかで気持ちよい。

夜になると肌寒いくらい。

草むらで盛んに虫が鳴いている。

リリが狩りをした獲物のうまおいだろうか、家の中で鳴いている。

昨年は秋が短かった。

今年は秋をいっぱい味わいたいものだ。


初嵐

10月7日

今日は初嵐。


水がめに一葉浮かす初嵐  鈴木真砂女


隣町まで所用があって出かけようかとおもっていた。

朝から時折強い風が吹いている。

秋風よりも肌の荒い感じである。

布団、洗濯物も良く乾くだろう。

布団を干したまま、出かけるわけにもいかない。

夫に頼むのは無理だろう。


10日11日は秋祭り。

毎年このころになると夫は掘り炬燵で書き物をしている。

炬燵布団を干した。

そろそろ炬燵をかける季節になった。

ブラッキーとリリは、わたしが布団を抱えて外にでたすきに脱走。

明るい爽やかな日ざしがさんさんとさしている庭を、リリが飛び回っている。

楽しくてしょうがないといった様子。

数羽の烏が煩く鳴いている。

繁殖期なのだろうか。

風が簾やガラス戸を叩くほかはシンーと静まり返った午後。

黄ばんだ葉が散りまよう秋/バラ紫雲


10月8日

気が付くと隣にリリが寝ていた。

明け方寒かったのかリリがわたしの布団に潜り込んでいた。

気持ちのいい暖かい肌触りを感じながら、すっかり寝坊をしてしまった。

9時をとうにすぎていた。

今日も引き続き快晴。

布団を干す。

これで客用の布団をすべて干し終えた。

子供たち家族が来ても心地よく眠れるだろう。

花の終わったシュウカイドウを刈り取った。

一仕事終えたので庭で遊ぶリリを眺めながら暖かいカルピスをいただく。

甘酸っぱいカルピスが喉を潤す。

まぶしい陽の光が庭にも、紫雲にも、リリにも降り注いでいる。

風が吹くとバラの枝が風になびいて黄ばんだ葉が散りまよう。


秋バラ アプリコット

10月24日

秋もこのころになると、虫の音も淋しさを感じさせる。

好きな季節なのに、この時期はいつも持病の喉を腫らしてしまう。

睡魔と体のけだるさに襲われる。

こんな状態でも庭にでると少し精気が身体にみなぎる。

水やりをしたり、枯れ葉を取りのぞいたり、庭が整然となると気持ちが落ち着く。

わたしが庭の手入れをしていると、リリが窓辺に来て外にでたいと窓越しに鳴いている。

あまり世話のできなかったバラもぽつりぽつりと咲いている。

――写真に撮るのも忘れがち。

アプリコットが春の花より魅力的に咲いている。

幾重にも重なった繊細な花びら。

花芯に向かって濃淡が素晴らしい。

自然の造形の素晴らしさに感心する。

酸味のあるフルーツ香が身体を優しく解きほぐしてくれる。


枯れ葉とどんぐり

10月29日

2015/10/28 水曜日

今日はインディアンサァマー。

二階は30度。

夫はポロシャツ、二人で買い物に。

いつもの散歩道。

カラカラに乾燥した樫の葉の落ち葉。

風が吹くと落ち葉は路肩に吹き寄せられる。

吹き溜まりとなっている。

どんぐりの実だけが路面に残っている。

実は踏みつぶされ砕けている。

川面に落ち葉が積もってその下を水が流れている。

そろそろ渇水期にはいったのかしら。

玄関に飾っておいたどんぐりがなくなっていた。

リリがひとつ残らず下に落として転がして遊んでいた。

どんぐりの実が乾燥してころころ音がするのが面白いのだろう。

転がしたどんぐりを追いかけて遊んでいる。


寒い一日だった

11月2日

寒い一日だった。テレビでは12月の寒さと報じていた。

この冬はじめて暖房をつけた。

リリも寒いのがわかるのか、あまり外に出たがらなかった。

PCに向かっているわたしのうしろに棚がある。

天井につくほど高い。

そこに置いてある籠の中でジッとしている。

いつの間にジャンプしたのだろう。

「干し柿食べられるよ」

まだ少し早いのに。

夫が二階からもってきた。

なるほど、どうにか甘味がでてきた。

半分こしてたべた。

雨の一日だったので家のなかで過ごした。


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