第15話 鉄壁の黒と暗雲と

 ディカーン歴504年2月28日

 フシュタン公国歴107年2月28日


 朝食の時間が終わり、1限目が始まる午前9時を過ぎているのに学園の生徒達は誰も教室で授業を受けていなかった。1人を覗いて当事者以外の全生徒が中庭の様子を見るために廊下に出ていたからだ。


 決闘である。


 この学園では勝負を挑まれた者は受けなくてはならないという暗黙のルールがある。その精神はこの学園を創立したキッカ・ロッカの精神に則るもので、決して校則や法律に書かれている者ではない。その結果、学園内では頻繁に決闘が行われる事になる。普段であればその決闘の当事者2名とその関係者ぐらいしか集まらないのだが今回は違う。何故ならその決闘を行うのが、この学園最強の魔法使いのジョーヴェことデボラ・バルトリその人だからだ。


 決闘は開けた場所で結果を見守る者が1人以上居れば何処でも行える事もあり、通所は校舎の外側にある6つの庭園の何処かで行われる事が多い。それは勝敗の結果をその場に居る物達の中だけ事に収めておきたいという心理からである。何故なら勝った者は、それを見ていた他の生徒から狙われる可能性が高まり、負けた生徒は学園内での立場を弱くする。なので普段決闘は秘密裏に行われ、関係者以外その結果を知る事は無い。生徒達にとって誰に勝って誰に負けたかという事は、自分自身の大切な秘密であり軽々しく口にするような事ではないのだ。


 一部、ジョーヴェの生徒達を除いては……だが。


 そんな中、学園最強の魔法使いデボラ・バルトリは全ての決闘を全校生徒が見る事ができる中庭で行い、その全てに勝利してきた。決闘における不敗神話は今尚続いているのである。その数は或る者は100連勝中だと言い、また或る者は150連勝だと言う。実際には100回も決闘は行われていないのだが、その数はデボラ本人も分からずにいた。


 勝てば良い。数など関係ない。


 デボラが本当にそう言ったかどうかは不明だが、その強さを目の当たりにしてきた者達の間では有名な台詞であり、デボラの学園での振る舞いを見事に表現した言葉であった為、それを知る誰もが本人がそう言ったと信じて疑わなかった。


 中庭での決闘は対戦者2人が中庭に入って来るところから始まる。この時、強い者から先に入り、弱い者が入って来るのを待つ。ジョーヴェであるデボラ・バルトリがジョーヴェの塔から中庭に入るのを見守っていた者達は誰もが、その相手もジョーヴェの塔から出てくると思い固唾を呑んでいた。


 が、出てきたのはアエリアの塔。しかも水色のローブを身に着けた基礎学年の小さな魔法使いだった。


 「誰だ?」

 「おいおい、ガキが間違って出てきたぞ?」

 「誰だよ! ガキの面倒ぐらいしっかりと見ろよ!」

 「今、アエリア様とそのルーナ様達が居ないからだろ?」

 「何だあいつ?」

 「誰なんだよ」


 中庭を見守る生徒達が口々に現れた生徒を見て嘲笑し、もしくは怒りと苛立ちを示した。が、その言葉とは裏腹にデボラは少年を見つめながらも、相手が定位置に着くのを待っており、その少年も緊張した様子を見せながらもその位置へと進んでいく。


 「え?」

 「間違いじゃないの?」

 「どういうことなんだ?」

 「で、結局あの子は誰なのよ?」


 それらの言葉は、次に発せられたデボラの言葉によってそこに集まった者達の驚きによってかき消された。


 「我が名はデボラ・バルトリ。この決闘を挑む者なり」


 中庭の中央に現れた少年を見下ろしながらデボラがそう宣言する。


 ショーヴェ様が挑むですって?

 何で? 何の為に?

 で、結局、あいつは誰なんだよ!?


 誰もが声ではなく心の中で互いの疑問をぶつけあい、そして周りに居る者達と視線で会話し合った。


 「ぼ、僕……わ、我が名は……アレッサンドロ・ロンヴァルデニ……その挑戦を、お、お受けします」


 その少年の言葉を聞いて、学年が上で、チリャーシ八家の本家に近い者達から順に驚きの声が広がる。そしてその声は、その者達から説明を受けた者達、さらにその者達から説明を受けた者達へと順に広がり、校舎の各階でぶつかり中庭を揺るがした。


 「ロンヴァルデニ!? しかも、アレッサンドロだって?」

 「エスロペ様の……親戚なのか?」

 「いえ、アレッサンドロとは本家、本筋のお方のみに許されたお名前よ!?」

 「という事は弟君なの!?」

 「で、では何故、エスロペの塔からではなく、アエリアの塔から出てこられたのだ?」

 「いやいや、そもそもその弟君が何故、ジョーヴェ様と決闘をする?」

 「それをエスロペ様やルーナ様達が何故止めないのかしら?」

 「相手がジョーヴェ様とは言え、決闘の負けは負けだぞ? ロンヴァルデニの家に泥を塗る事になりかねない」

 「エスロペ様の弟君……あの黄金の髪、そしてあの可愛らしいお顔……」

 「何だかすごく可愛いわね」

 「アレッサンドロ様ですって」

 「エスロペ様の弟だって?」

 「おい、なんだか腹が立つからジョーヴェ様を応援するぞ!」

 「ああ、もちろんだ……ジョーヴェ様負けるな!」

 「ジョーヴェ様! ジョーヴェ様!」

 「何あれ、男子の嫉妬かしら嫌ね。私達はアレッサンドロ様を応援しましょ!」

 「そうね、だって可愛いもの!」

 「アレッサンドロ様ー!!」

 「がんばってねぇー!」

 「負けても私達がついてるから!!」

 「アレッサンドロ様、こっち向いてぇー!!」

 「きゃー!!」

 

 最初は疑問が、だが途中からは現れたアレッサンドロの見た目の感想となり、最後にはジョーヴェであるデボラを応援する男子生徒の声と、金髪の少年アレッサンドロに黄色い声援を投げかける女子生徒の声へと変わっていった。ジョーヴェの決闘でこんなに声援がある事自体、異例の出来事であったが、その声の約半分が相手に対する応援である事は前代未聞の珍事であった。


 デボラとアレッサンドロは中庭の中央で互いを見つめ合い、そして決闘の前の魔法使いの挨拶を行う。これはエルコテ魔女学園にだけ伝わる者で、他の国や地域では見かけない所作であった。互いに両の掌を見せ合うに様に差し出すというもので、決して相手の掌に触れる事は無いがその体温を感じ取れるのではないかと言うほどに近づける。


 これは【我が手には魔法以外の何も持たない】という意思を示すもので、キッカ・ロッカの娘達である初代チリャーシ八家の者達が争い事や力比べをする前に行ったと言われている。


 挨拶を終えた2人は中庭の東西の方向へと一旦離れる。強者であると互いに認める者が東に、弱者であると認めるものが西に進む。もしくは、挑戦を受けた者が東に、挑戦した者が西へと進む。今回は相手がジョーヴェであるが故に、アレッサンドロが基礎学年であるが故に、見守る誰もが、本人たちでさえ、デボラが東に進む事に何の不満もでなかった。


 デボラが先に足を止め振り返る。少し遅れてアレッサンドロも足を止め、緊張しながらもゆっくりと振り返った。


 いよいよ決闘が始まる。


 1200名近い生徒が集まっている事は確かなのに誰からも声は発せられない。先ほどまでの声援も消え、誰もが決闘の始まりを見守っている。


 「では、参る」


 デボラはそういうと、右手を構える。


 「ロッククリエイション」


 その魔法はデボラが挑まれた決闘で毎回唱える岩石創造の魔法だ。その詠唱と共に中庭の中央、デボラとアレッサンドロの丁度中間地点に縦横奥行きが1mの立方体が出現する。そのサイズは1mmの狂いもないと言われており、実際、1mmの狂いも無い立方体であった。


 その材質は出現時は赤茶色の銅の様な塊であるが、デボラの魔法によって激しく自転する中で灰色から銀色、黄金、そして漆黒へと変わる。その意味は、生み出された銅が魔法によって錬成されて鉄に変わり、さらに魔法を注ぐことで鋼に、そして魔鋼、つまり銀色のミスリルとなり、さらにさらに硬魔鋼である黄金のオリハルコンへと変質し、最終的には超硬魔鋼、漆黒のアダマンタイトになった事を意味している。


 この世で最も硬い金属であるアダマンタイト。その塊が中庭に現れる。それは正に漆黒であり、全ての光を、全ての魔法を吸い込むかのようにそこに鎮座していた。あまりの黒さに目の錯覚で紫や赤、緑や青に輝いている様にも見えた。


 「でた……ジョーヴェ様の鉄壁の黒が……」

 「あんなものを誰が壊せるというの……」

 「あれで使徒を粉々にしたらしいからな」

 「ああ、だが何度見ても美しい」

 「一度でいいから触れてみたいわ」


 中庭の中央に敷かれている石の床との摩擦を全く感じさせない立方体の回転は徐々にその速度を落とし、その真っ平らな平面をアレッサンドロの正面に見せる様に静かに止まった。


 「いつでもかかってこい」


 デボラは兆発するような意図の全くない、いつも通りの台詞を発する。デボラが決闘を受ける際に必ず発する台詞である。


 エルコテ魔法学園の決闘はこの様にして始まる。これは、直接生徒同士が互いの魔法をぶつけ合う事を避ける為の物であり、チリャーシ八家に伝わる正式な決闘方法と同じものである。強き者、もしくは挑戦を受けた者が己の魔法によって生み出したものを、弱き者、もしくは挑んだ者が己の魔法で生み出したもので破壊する。破壊されれば後者の勝ち、破壊されなければ前者の勝ちである。


 デボラが生み出した漆黒のアダマンタイトは、鉄壁の黒と言われ、今までの全ての挑戦を退けてきた。ジョーヴェのルーナであるフランカですら、その表面にかすり傷をつける事しかできなかった。それでも、その力を認められ現ルーナとなり、次期ジョーヴェと噂されているのである。


 「は、はい」


 デボラの声に応えたアレッサンドロは両手を突き出す。その姿は無謀以外の何ものでもなかった。先程までアレッサンドロに黄色い声援を送っていた女子生徒達でさえ、憐れみを隠せない目でアレッサンドロを見つめている。その中には当然、姉であるエスロペとその姉を全力で抑え込む2人のルーナの瞳も含まれている。


 だが、アレッサンドロの瞳だけは違った。たった一週間程度ではあったが、「キントレ」という謎の訓練によって己の中に今までに無かった、欲して欲して欲し続けても手に入らなかった力を感じていたのだ。


 「ライトニングストライク」


 まだ緊張が残った少し高い少年の声が中庭に小さく響いた。そして、その場にいた誰もが、デボラでさえその魔法の名を聞いて落胆した。落雷:ライトニングストライクは雷の系統の魔法の初歩の初歩である。空中に生み出した小さな電位差を的に当て、その相手を痺れさせる事ぐらいしかできない魔法で、幼い魔法使いが悪戯や遊びで唱えるものであり、正に児戯に等しい魔法であった。


 だが、その魔法は違った。誰もが頭上に広がった初めて目にするものから視線を外すことができなかった。


 校舎の4階から5階の間に現れた暗雲は中庭の中心から校舎側に一瞬で広がると、何かに吸い込まれるかのように回転を始め、ゆっくりとゆっくりと中心へと集まっていく。下から見上げる者には巨大な雲の渦に見え、横から、そして斜め上から見る者には徐々に中央が競り上がる山に見えたという。


 中央に集まっているはずなのに、校舎近辺の暗雲は細く薄くなるだけで消えはしない。だが、中央の渦は徐々に濃くなり、そして山は見下ろしていた者が見上げる程高くなり、すでにその高さは6本の塔を超えていた。


 「……うそ……」

 「なんだい……これは?」

 「さ、さあ……ライトニングストライクなんじゃない?」

 「いや、そ、そうなんだろうけど……」


 唱えたアレッサンドロですら、それがこの後どういった結果につながるのか全く予想できなかった。だが、初めて全力で魔法を唱える事ができるという喜びと快感に全身が包まれており、その詠唱を止める事ができなかった。


 ゴゴ……ゴゴゴゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴゴ……


 中庭で今も尚成長し続ける暗雲の山は巨大な積乱雲へと成長し、校舎を揺らすような唸りが鳴り響いた。


 「おい、これ、やばくないか?」

 「校舎が吹っ飛んだりして……」

 「いや、さすがにそれは……無いと思いたいけど……」

 「ま、魔法でこの校舎は壊せないはずだけど……」

 「ちょ、ちょっと離れましょうか」

 「そ、そうね」


 4階と5階の生徒達が中庭の窓からそっと離れた時、それは起こった。巨大に膨れ上がった積乱雲の中で耐えきれなくなった雷光が下から上に内部から雲を照らしたかと思ったその瞬間、その場に居た全ての者達の視界を白い輝きが奪ったのだ。


 ドゴゴオオオォォォォオオォォォオォオォォォォ


 白に包まれた世界を吹き飛ばすような音の圧力に負け、窓の近くに立つ生徒達は次々に体勢を崩し、その場に尻餅をついた。唱えた本人、アレッサンドロでさえ、落雷の光とその光が発した音に尻もちをつき、遅いと分かっていても自分の耳を両手で塞ぎ、目を瞑った。


 そんな中、デボラだけは片手を日光を遮るように構える事で、その落雷の一部始終を見届けていた。


 「すばらしい」


 そのデボラの声は雷鳴によって耳鳴りがしている生徒達には全く聞き取れなかった。


 どれぐらい時間が経過したのか、数秒か、数分か、誰もが正確に判断できない中、暗雲が晴れ、見守る者達の視力と聴力が戻りつつある中、今度は1階で見守る生徒達から地鳴りの様に歓声が上がる。


 「う、うそ……」

 「て、て、鉄壁の黒が……」

 「ら、落雷で、落雷でこんな事が!?」

 「す、すごい……これすごいよな?」


 歓声と共に、口々に放たれた魔法のすごさに驚く者達の声も広がる。それもその筈、中庭の中央には溶けて一部が蒸発している超硬魔鋼が転がっているのだ。そして、それが今までかすり傷しかつけられた事が無い鉄壁の黒だという事は見ていた誰もが理解していた。


 元の形が1mの立方体であったという事を想像もできないいびつな球体となり、床の上に湯気の様な煙を出している塊を見下ろすデボラは、高らかに宣言売る。


 「私の負けだ」


 デボラの言葉が中庭に響くと校舎を静寂が包み込む。それはジョーヴェが負ける事を喜んでいるかの如き歓声を放ち続ける事が出来る者など、この学園には居ないという事を物語っていた。だが、そのジョーヴェの言葉をアレッサンドロが否定する。


 「いえ、それは……その、違うのでは無いでしょうか……」


 デボラは自分の宣言を否定するアレッサンドロを見下ろし、眉間に皺を寄せた。


 「何だ? 私に勝った事が不服か?」


 アレッサンドロはデボラの表情を見て一瞬目を逸らすが、直ぐに見つめなおすとゆっくりと異を唱えた。


 「は、はい。決闘のルールでは、最初に生み出された物を破壊しなくては勝った事にはなりません。僕の魔法はジョーヴェ様が生み出された鉄壁の黒の一部を蒸発させ、変形させる事はできましたが、破壊できたとは言えないと思います。ですので、この決闘は僕の負けだと思います」


 ジョーヴェ様が負けていない。


 アレッサンドロのその言葉は、ジョーヴェであるデボラ以外の者達の緊張を一瞬でかき消した。


 「うん……なるほど……そう言えなくも無いが……しかし、これは、私の負けと言って過言ではないだろう?」


 デボラがアレッサンドロの言葉を真剣な顔で噛みしめながら答える。


 「ジョーヴェ様。ジョーヴェ様に僕の魔法を認めて頂けたのはとてもうれしいのですが、決闘のルールはルールです。それを一時の感情で曲げるのは、過去の、そしてこれからのこの学園での決闘を汚すものではないでしょうか」


 アレッサンドロは自分の発した言葉に自分で驚いていた。だが、思い切り魔法を唱える事ができたと言う喜びに包まれている高揚感が、自分の心の中にある怯えと言う名のブレーキを緩めている事には気づいていなかった。そして、それだけを言うとアレッサンドロはその場に倒れる。


 「アレッサンドロ!!」


 そう叫んだのは誰でもないエスロペであった。


 「まだ、決闘は終わっていない! この場に入れるのは勝者と敗者の2名のみだぞ!!」


 エスロペが塔から飛び出してきそうになっている事に気づいていたデボラはそう牽制すると、その事を理解して必死にエスロペに抱き着くセレナとミランダの2人のルーナに視線を送った後、倒れたアレッサンドロに歩み寄った。


 「な、何を!」


 エスロペが叫ぶ。大切な弟に危害を加えるのでは無いか? その不安が激情に変わり、エスロペの抑え込まれた両手には魔力が込められる。


 「お、お待ちくださいエスロペ様!」

 「だ、だめです!」


 制止する2人を振り払うようにエスロペの両手が伸びる。が、その前にそれは起こった。


 「アレッサンドロさん!」


 いつ、何処から、どうやって現れたのか? デボラ・バルトリの視界が水色のローブと謎の異臭を放つものに遮られる。それが、人の背中である事に気が付いたのは、その者が倒れたアレッサンドロを抱えようとしゃがみ込んだからに他ならない。


 デボラ・バルトリは生まれて初めて、いや、2度目、いやいや、3度目の恐怖を感じた。


 1度目は自分が仕留めた使徒の幼体を目にした時、2度目はアエリアが持ち帰った巨大な使徒を見た時、そして3度目が今である。目の前に居る者の背中を見て、今にも弾け飛びそうに伸びている水色のローブに浮かんだおぞましい凹凸を見て、その後、気づいた謎の異臭を感じて、デボラは3度目の恐怖を感じその場から動けなくなった。


 その者は何かを、恐らくはアレッサンドロであろうが、こちらからは確認する事ができない何かを抱え上げると再度立ち上がった。その身長は183cmでこの学園で最も背が高いデボラを見上げさせるのに十分な高さである。見上げたその先には凸凹の体には似つかわしくない様な薄茶色の滑らかな髪の毛が見える。


 「ひぃっ」


 自分の口から洩れた悲鳴の様な音は、思わず飲み込んだ息の音である事にデボラは気づいていない。ゆっくりとこちらを振り返る動作をし始めたその者は背中にもまして凸凹の腕、肩、そして胸を見せつけ、最後に髪の毛と同じ色の薄茶色の大きな丸い瞳が自分を見下ろした。


 「あの、どこかに医務室の様な部屋はありますか?」


 巨人が放つ言葉の意味を理解しようとしても、恐怖がそれを拒んでいた。デボラはなけなしの意地だけで校舎の1階の医務室の場所を指示した。


 「ありがとうございます」


 そう言い残して、巨人はデボラの前から去っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る