医療の果ては、この世界の果てだった――

医療技術の進歩で人類が死を克服した時代。人は自由の死を選択できるようになっていた。そんな世界で、死を選択した人々を送る『葬儀省』に勤めるイーサンが主人公。

『ナノマシン』と『クリーム』によって手軽に生を維持できる人類の魂は、どこか空虚で渇ききっている。ユートピアが完成したはずなのに、イーサンの視点で描かれる世界はディストピアそのもの。そして、その視線の先は死で溢れ返っている。そんな虚無的な雰囲気が文章を通じてひしひしと伝わってくる。

この物語の結末をぜひとも見届けたい!!

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