422文字の世界「アップル」
「くそ、弾切れか」
「隊長、他の隊は全滅しました! 退路確保できません!」
「どうやら、ここまでのようだな」
「隊長っ!?」
「残された道は一つだ、上等兵。引きつけて、一網打尽にする」
「自爆、ですか」
「自害するなら敵諸共、だ」
「分かっておりますとも。覚悟はできています」
「いい返事だ。よし、アップルを用意しろ」
「はっ、ここに」
「……おい、なんでリンゴなんか持ってる」
「は? 自分は隊長のご指示通り
「袋一杯に詰めてきたのか」
「はっ、ここに」
「ここにじゃねぇよバッキャロー!! 戦場でアップルといえば手榴弾だろうがっ!! アップルパイでも作る気かっ!!?」
「はっ、アップルパイは得意料理であります!」
「だったらさっさと焼き上げて、敵に食わせて手なずけろっ!!」
「はっ、ただいま!!」
上等兵のアップルパイは疲弊しきった敵兵の心を見事に掴み、隊長共々食客として丁重にもてなされた。
これをきっかけに停戦協定が結ばれるまで、さほど時間は必要とされなかったそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます