第3章 まいっちんぐ☆マッチング 第7話 優しさだけは持ち合わせていない

、、、


、、、、、


、、、、、、、


、、、、、、、、、



ッカクンッ!!



『ハッッ!!?』



少し午睡している間に6年の月日が経っていた。


私は27歳、ムーは28歳になっていた。


相変わらずムーは美しく、羨望のまなざしを周囲から受けることも多いため、私の自尊心が潤うことも多々あった。


、、、が、


ムーには決定的に欠けているモノがあった。


【やさしさ】だ。


、、もう決定的に欠けてるんだ、これが。


数値でいうと、、


ムー LV28

うつくしさ 95

やさしさ 0

かしこさ 68

すばやさ 15

あくい 70


まぁ、、こんな感じだ。


ムーは基本的に良い女ではある。


キレイだし、話も合うし、飯の好みも合うし、休みも合うし、私のことが好きだ。


ただひとつ、、。

なぜか、優しさだけは持ち合わせていない。



いくつかのエピソードを記そう。


私とムーは2人で何もない道をテクテクと歩いていた。

1年のうちで1番過ごしやすい時期の陽射しも穏やかな午後の遊歩道だ。

心までフワフワと軽くなる。

そんなひととき。


私『、おっと、!』


と、何もないところで私は軽く躓いた。


そんな私に彼女は、


ムー『チィッ!グズがッ、。』


と、春のそよ風に腐臭を乗せた苦言を浴びせてくる。



他には、、

生活費の問題と、もちろん長く一緒にいたいからということもあり、私とムーは同棲生活を送っていた。


もう2年は経つだろうか。


或る日、仕事からの帰り道に急な豪雨にみまわれて、私はもうグッショリと身体を重くして帰宅した。



《少し時を止めて考えてみよう》



一緒に住んでいる彼氏、或いは彼女が、それはもうズブ濡れで家に帰ってきた。


さて、あなたならどうする?


①『大丈夫!?』

と気遣いながらタオルを差し出す。


②カバンなど受け取ってあげて一緒に拭いてあげて、

『とりあえずお風呂はいってきちゃいなよ』と、言って着替えを用意する。


③おもむろにバケツで水をかぶり、

『これでオソロイだね♪』

と舌を出す。



さぁ、いかがでしたでしょうか。


①か②だった人。

結婚してください。


③だった人。

飲みに行きましょう。


それでは、、



《時は動き出す》



私『ただいま〜、、いや、雨すごかったよ〜、』


ムー『濡れたまま入ってくんな!』

※絶対零度の視線


凍るわ〜、、それ、身も心も凍るわ〜、。



、、もうひとつ、。いってみよう。



私は、ひょんなことがキッカケでギックリ腰を起こしており、普段なら家から駅まで5分で行けるのだが、その日は腰に負担をかけられず30分はかかるであろうペースでユックリと慎重に歩を進めていた。


駅までの道のりも1/3くらいまで来た頃だろうか、痛さと遅刻への焦りで脂汗がにじむ。


と、その時、後ろからムーがスタスタと歩いてきた。


ムー『お先〜』



そして、スタスタと私を抜き去っていった。


私『ちょいちょいちょ〜〜いッ!!?』


私はおもわず、ムーを呼び止めた。


ムー『、、、なに??』


なにって、、、コイツは本当に血が通ったニンゲンなのだろうか??


百歩譲って、私が一年中腰の痛い人ならそれでも良い。

こちらも申し訳ないし。


だが、実際には365日あったら腰が痛いのなんてせいぜい5日だ。


そんな突発的な怪我イベントだったら、一緒に駅まで歩くとか、

『大丈夫?』

って声かけるとか、、普通あるだろう??


と、言うに言えずに口をパクパクさせていた私の気持ちを察したのか、ムーは口を開き、


ムー『ワタシは医者じゃない。

ワタシに出来ることは何もない。

ワタシを遅刻させないで』



、、、正論だ。が、

これが正しい世の中なら私は絶望をおぼえる。



、、、、、、、、



そんなことが大体半年に一度くらいあり、その度に、、心がもたないッ、!!

今度こそ別れよう、今度こそ別れようと、暗い炎を燃やしながら、やっぱりムーは可愛いなとほだされながら、6年もの月日を過ごしていたのだ、。



そして、、ついに運命の日が訪れた。

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