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 誰かが言った。

 人間は次の二種類に分類できる、と。

 それは、勝者と敗者。

 あるいは、奪う者と奪われる者。

 あるいは、騙す者と騙される者。

 あるいは、愛する者と愛される者。

 あるいは──

 しかし、それは違う。

 確かに大抵の人間は、それら二種類のどちらかに分類できるのかもしれない。

 けれど、そのどちらにも属さない人間が、確かにいる──いた。

 傍観者。

 ぼくだ。

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