白い眩さは止まないまだ止まない9月のこと


秋分が過ぎても一向に暑さは止まない毎日だ。空はすでに秋模様にもかかわらず、日差しは容赦なく俺たちを襲う。

先週までは気温も平年並み。下がる傾向にあったのに、なんのいたずらか今日はまるでひと月前の暑さが戻ったようだ。テレビのニュース番組では、「今日明日に限っては平年より高い気温を記録するでしょう。」などと、昨日は着ていたカーディガンを着ずに女子アナが話していた。全く嫌になる。



俺がこの4人と一緒にいるようになってもう1年近く経つんだな。


そんなことをぼんやり考える俺の隣では、暑さに参った4人が下敷きやファイルをうちわ代わりにしながら嘆いている。翠まで同じようにしているところを見たクラスの男どもは驚いているようだが、俺からしたらさすがとしか言いようがない。



クラスの他のやつらと当人たちが気づかないだけで、俺らはちゃーんと分かっている2人の両想い。

青真も翠も、周りのことにはよく気がつくのに、自分のこととなると鈍いってところが変に似ている。

周りのやつらのせいで、2人がどんどん勘違いした方向へ進むことがないように、俺を筆頭に3人で頑張っているというのに。


紫苑だけでなく、あの朱里でさえ気を利かせていい仕事をしたこの初夏から今にかけての数ヶ月。

2人にとって、予期せぬ、だがいいイベントをやってきた…はずだ。

ベタな展開、嫌いじゃない2人だからな。


ここまでやってもあの2人の間には何もないのだろうか?

翠からは当然だが、青真からも俺はここ最近何も聞いていない。

これは由々しき事態だな。仕方がない、事情聴取だ。黙秘権を受け付けるつもりは毛頭ない。

うんうん、それでいこう。


…さて、さっきから俺に向かってずっと視線を投げかけてくる紫苑、あいつも何か考えてるのか。


「なんだよ、紫苑?」

「何考えてる?白斗。」


俺の質問に、似たような問いを返してきた。全くこいつときたら…。

その声に敏感に反応したやつが1人いた。青真だ。どうしたんだ。


「なぁ、2人に話したいことあるんだけど。」


珍しい提案だ。少なくとも俺は初めて聞いたぞ、こんなセリフ。

紫苑も少なからず驚いているようにも見える。


事情聴取は後回しになるかな。

とりあえずは青真に付き合ってやろう。



もうそろそろこの真っ白なカッターシャツともおさらばだ。

いろんなものが移ろう秋、何が起こるんだろうな。

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