みどり映える5月のこと-1


終業のチャイムが鳴る。

移動教室の帰りは静かで、寂しくなる。それもこれもあの子がクラス落ちしたから…。


腹立たしさを感じるのも少し馬鹿らしく感じて顔を上げる。

タイミングを同じくして、ひょいと隣から顔を覗かれた。


「近いわよ?」


見上げたところには白斗の顔があった。


「ははっ。ごめん、ごめん。怒んなよ、翠ちゃん。」

そう笑う白斗は、つい最近青真が私たちのところに連れてきた友達らしい。青真のことを分かってくれてるいい人。



「別に怒っちゃいないわよ。」

こんな言い方しかできない自分は可愛くなくて嫌になる。でもそれが自分なのよね。


私は翠。幼なじみ3人と今までずっと同じ学校に通ってきた。朱里、青真、紫苑。彼らは大事な人たち。人見知りな私は4歳の時今の家へ引っ越してきてみんなと出会った。遅れて仲間入りした私にも変わらず接してくれる。


ほら、今日も向こうから歩いてくる。

授業終わり、いつもの2人プラスあの子も…。

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