第4話 壊れ物

大事件だ。



それは我が家に来てから、ずっと風鈴を夢中にさせてきたおもちゃが

壊れてしまったことだ。


毛玉が取れてしまったポールはただ爪とぎに紐がついてるだけの欠陥品で、

風鈴を大いに困らせてしまった。



帰宅後、その事実に気づいたわけだが、不機嫌そうに低い声で「にゃーーーーー」と鳴く。


初めて会ったときのように足下にまとわりつき、膝に乗ろうとする。

だいぶ暇を持て余したようだ。



ひとしきり遊んでやると、うとうととし始めるわけだが、どうにもこうにも子供の体力は無尽蔵なようで、5分もすれば復活してしまう。



猫じゃらしを振ってみたり、部屋の中を自由に走り回させても、どこか退屈そうに「にゃー、にゃー」とのことだった。



人間と違って、「自分で壊したのだから我慢しなさい」というのは伝わらない以上、私がおもちゃになるしかないのだが、1時間も持つはずがなかった。



少し風鈴が疲れた様子を見計らい、外に出ないようにし、急いでおもちゃを買ってきて見せてやると、

「にゃーお」とも言わずに遊び始めた。




そして今、1時間経つ。

私の方が「にゃー」と言いたいくらいだが、彼女が楽しそうでなによりだ。

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