風鈴の鳴る日

庵野 彩雨

第1話 風鈴

6月19日、我が家に一匹の黒猫がやってきた。

乳ばなれは済んでいるが、まだまだ小さい雌猫だ。

うっすらと母親似のトラ柄が入っており、目は黄金色。


初めて会ったのにも関わらず、足に顔を擦り付け、後ろ姿をととと、と追いかけてくる。初日から人懐っこい性格が伺えた。


そしてとにかくよく鳴く猫だ。人間を見ると「にゃーお」と鳴き、姿が見えなくなると「にゃー、にゃー」と鳴く。


黒猫とトラ猫の両親から生まれ、3猫姉妹の2番目として生まれた猫は

やんちゃで甘えたがりで、意外と度胸が座っているところがある。


猫はさっそく押入れの中に入り込んでは、忍者のように布団の間に紛れ込み、

私を困らせた。




私は彼女を風鈴ふうりんと名付けた。

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