2015/11/27 父へのラブレター

たまには、ちょっと毛色の違う日記を。


今日の夜は、知り合い(父の友人)の方による加齢抑制セミナーというのに父と一緒に参加しました。41歳の私が最年少チームに入るという大御所の方々の勉強会でしたが、ゲストに有名人の方たちもいらして、とても華やかな会でした。


帰り道、父がふと渋谷センター街の真ん中で空を見上げながら「きょうは満月だね」と言ったのですが、私の0.2行くか行かないかの視力では、確かにまるいけど、左下がまだ欠けてるように見えました。えー、まだじゃなーい?と適当な返事をしたら、そうかい?と、父はちょっと残念そうでした。


帰宅後銭湯に行くと、いつも脱衣所で会うおばあちゃんがいたのでこんばんはー、と挨拶したら、とても嬉しそうに、「今日は満月ね!お月様がとっても綺麗」と仰いました。


父よ、あなたの言葉を疑ってごめんなさい。


私の行く銭湯には小さな小さな露天風呂がありますが、ぬる湯のため、熱湯好きの江戸っ子の皆さんにはあまり人気がないようで、私がいつも独り占めしています。今日もわーいと誰もいない露天風呂に入り、お湯がとうとうと出る水音に心地よく耳を傾けながら、お湯の中で伸びをするとちょうど私の頭の真上に丸いお月様が見えました。


夏目漱石が英語教師時代に、学生に「I love youを日本語に訳すと何というか」と問いかけ、学生たちが「あなたのことを愛しています」と答えると、先生は首を横に振り「日本人は気質的に、そのような直接的な言い方はしない」と答えたそうです。「では先生は何と訳しますか」と学生が尋ねると、かの漱石先生の答えはこうでした。


「あなたといると、月がきれいですね」


露天風呂につかって満月を眺めるという風流なひとときを過ごしながら、父のことを考えました。お父さん、今日、あなたと見た満月のことは、一生忘れません。


まあ、その時点では満月とは思ってなかったんですけどね!

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