第14話「スペードの8とスペードの3」

 魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。

 そんな彼女は体調に異変を覚えるものの、飯塚琴美の助けにより事なきを得る。

 するとそこに伊賀啓介が現れ、スペードの8とスペードの3の挑戦状のことを伝えてくるのだった。

「武器は爪に竹刀か。前の時と違ってスピード偏重ってわけでもないな」

 二人のトランプ兵を見やった啓介がそういうと、克美はこういう。

「分かってる。行くよ、啓介」

「そうだな。行こう!」

 そして二人は同時にこういった。

「「マジカル、オンステージ!」」

 すると二人は光に包まれる。

 克美にはまずガラスの靴が履かされ、啓介には金で柄を装飾された剣が持たされる。

 そして光が衣服へと変化する。

 克美の衣装はシンデレラらしく、青いお姫様らしいドレスへと変化していく。

 啓介の衣装は王子様らしく、ファンタジックな衣服へと変化していく。

 そして光が収まると、二人はダンスを踊るように動いた後でこういう。

「「異世界より現れし尖兵よ」」

 まず克美がこういう。

「シンデレラに与えられし力を」

 そして啓介がこういう。

「姫を守りし王子の力を」

 二人は再び息を合わせてこういう。

「「恐れぬのなら絆の剣を見よ!」」

 それを見たスペードの3がこういう。

「竹刀の打撃力を見くびって貰っては困るな!」

「竹刀なんて当たってもどうってことはないだろ!」

 するとそこにスペードの8がやってくる。

「竹刀と爪の連携攻撃、かわせるか!」

 それを見た克美は啓介にこういう。

「僕がスペードの3を足止めするから、その隙にスペードの8を!」

「無茶だ。その身体で!」

「女の子の身体でも、竹刀くらいなら受けきれるはずだよ!」

 するとスペードの3がこういう。

「図に乗るな、シンデレラ!お前はじっくり見物していろ!」

「竹刀なら、刃物じゃないんだ。こういう受け方だって出来る!」

 克美は振り下ろされた竹刀に向けて両手を差し出し、それを受け止めた。

「なっ、そんなことができるとは!?女とはいえ油断してはいけなかったようだな」

 それをいったのはスペードの8であった。

「戦いの間に余所見をするんじゃない!」

 啓介はそういって隙ができたスペードの8に剣を振りかざすが、

爪に受け止められはじかれかけた。

「だけど、このまま押し込めば!」

 しかしはじかれた勢いでそのままスペードの8を剣で突き刺した。

「なっ!?」

「後は任せたよ、啓介!」

「分かっている。食らえ!」

 啓介は後ろに下がった克美を守りつつスペードの3に対峙する。

「でいやあ!」

 スペードの3は竹刀で対抗しようとするものの、胴が開いていた。

「力みすぎたな!」

 それを啓介は見逃さず、すかさず胴を切り裂いたためスペードの3も倒されたのであった。

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