第12話「スペードの9とスペードの2」

 魔女ヤヒュニアによって女の子となり、克巳から克美になった大津克巳。

 そんな彼女がゲームセンターに向かうとそこには同じ学校で同じ学年の古垣怜央が居て、

彼は克美とはげしくいがみ合うのだった。

「あ、電話だ」

 そんな克美が電話を取ると、それは伊賀啓介からの物だった。

「そこのショッピングセンター近くの公園でトランプ兵が待ってると果たし状を寄越した」

「何でも、スペードの9とスペードの2がハンデとして2人で戦っていいかといっている」

「結構律儀なのね。まあ、こっちとしても二人纏めてやっつけれれば万々歳よ」

 そういって克美は電話を切り、メダルを預けてから近くの公園へと向かう。

 すると、スペードの9のトランプ兵がこういう。

「待っていたぞ、世界の守護者!」

 それを聞いた克美はこういう。

「啓介!」

「分かってる。あれだろう!」

 そして二人は同時にこういった。

「「マジカル、オンステージ!」」

 すると二人は光に包まれる。

 克美にはまずガラスの靴が履かされ、啓介には金で柄を装飾された剣が持たされる。

 そして光が衣服へと変化する。

 克美の衣装はシンデレラらしく、青いお姫様らしいドレスへと変化していく。

 啓介の衣装は王子様らしく、ファンタジックな衣服へと変化していく。

 そして光が収まると、二人はダンスを踊るように動いた後でこういう。

「「異世界より現れし尖兵よ」」

 まず克美がこういう。

「シンデレラに与えられし力を」

 そして啓介がこういう。

「姫を守りし王子の力を」

 二人は再び息を合わせてこういう。

「「恐れぬのなら絆の剣を見よ!」」

 それを見たスペードの2がこういう。

「俺はサップなんだよな、大丈夫かな……」

「そんなことをいったら俺だってタガーだ。スピードで翻弄するしかない」

 スペードの9の発言に克美はこういう。

「相手は二人ともスピードが武器ね。なら、この地形を使えば!」

「そうか、ジャングルジムなら相手の動きを縛れる!」

 そんな啓介の発言にスペードの9はこういう。

「汚いことを考える奴らだな。そんなのに負けてたまるか!」

「ああ、ジャングルジムが何かは聞いている。動きを先回りすれば!」

 だが、それこそが啓介の狙いだった。

「やはり乗ると思ったぜ。いくらスピードが速くても、動きが分かれば苦労しない!」

 先の先まで読んだ啓介が二人のトランプ兵の向かおうとした方向に剣を振るうと、

トランプ兵達はまとめて切り裂かれるのだった。

「ぐっ、無念……」

 啓介達は変身を解くが、策を使っての勝利だったのであまり清々しい気分にはなれなかったのだった。

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