第11話「俺VSホームレス」


その日は夜中勤務だった。日曜日で暇であり、筆者一人だけの勤務だった。土日は客が少なく、店員は清掃作業と前出しやレジなど基本作業をするだけだ。大半の作業を終わらし、次は何をしようかと考えていた時、男性客が来店。汚い身なりはヨゴレ…つまりホームレスである。歳は50~60歳程度で、中肉中背。その客はあろうことか、湯沸しポットの前で立ちながら寝ていた。




俺「あの、すいません。ここで寝ないでください」




そう言うと一旦客は外に出たが、すぐ戻ってきて、また寝た。

流石にこれは腹が立った。




俺「あのね、ここはあんたの家じゃないんだ。寝るなら他所で寝ろ」




客「ああ?俺がここで寝たら悪いんか!」




俺「悪いわ!ここはみんなが使う場所なんだぞ。お前の家とちゃうわ!

お前のしていることは迷惑行為なんだよ!」




客「なんやとお前、名前出せ!なんかあるやろ!」




俺「アルバイトにそんなもんあるかぁぁ!」




名前というのは名刺か、社員証の事を指していると思われる。ガチで怒鳴り合いになり、もうこれはあかんと思って警察に通報。何がいけないって、このままだと本気の殴り合いレベルに発展しそうだったから。筆者が暴力を振るってしまうと傷害罪でこっちが悪者だ。キレた若者の怖さを年寄りは知らない。警察がすぐに飛んできたので、こちらはきっちりと事の顛末を話した。ホームレスは警察官にもギャーギャー喚き散らしていたが、筆者は素知らぬ顔。最後にこっちを睨んできたが、無視してやった。なんとか警察に連れられ、店からようやく姿を消した。それ以降は二度と来なくなった。これだからホームレスは困る。



大体店の中で寝るなどと、どういう神経をしているのだろうか。よく物語ではホームレスをいいように書いているモノもあるが、現実はそうでもないことをよく知るきっかけとなった。




その日の出来事を詳細にスタッフノートに書き、皆に注意を促した。





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