第1話 二人の訪問者

 「まさか、こんな得体の知れない部活に、入部希望者が現れるとはなあ」

 頭の後ろで両手を組み、玲子れいこ揶揄からかうようにして言った。

 「私としては大歓迎よ。私の目的は変わらないけれど、活動を共にする人が増えるというのは素敵なことだわ。お名前は、本山ほんやま梨沙りささんだから……そうね、と呼ぶことにするわ」

 「はい、よろしくお願いします、部長!」

 「敬語でなくていいわ。同級生なのだから」

 「いえ、私は誰に対しても敬語で話さないと落ち着かない性格でして、このままでお願いします!」

 「勿論、強制はしないわ。それにしても、部長と呼ばれるのも悪くはないわね。どちらかといえば、トーコと呼んでもらえた方が嬉しいのだけれど」

 「いえ、部長と呼ばせてください!」

 梨沙は敬礼のポーズで声を張った。

 その時、部室のドアをノックする音が響いた。

 「今日は訪問者が多いな」

 「どうぞ」

 「……失礼する」

 入室してきたのは、オカルト研究会会長の如月きさらぎだった。

 「呪われた本の件について、改めて礼を言いに来たのと、もう一つ、我がオカ研のライバルである都市研の君たちに朗報を伝えるために今日はやって来た」

 「是非、お聞かせください。そちらの椅子にどうぞ」

 如月は入口から一番近いパイプ椅子に腰を下ろすと、話を続けた。

 「君たちは、を知っているか?」

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