第17話 新たな出会い
修行を始めて4週間、28日が経過した。何度も死に戻りしながらの訓練によって、ボクは基礎能力が順調に上がって確実に強くなっている。
「ふぅ……これで日課は終わりっと」
毎日の日課である型を1万回を竜脈と龍脈を操れる限界の速度で行いながらやる。もちろん、一緒に経脈の拡張している。ただ、これらはステータスやスキルに載らないプレイヤースキルなのでデータ上ではわからない。
「そうかそうか。随分と早くなってきたの。うむ、これなら今日の修行は取りやめてアレにするかの。こっちじゃ」
「?」
お爺ちゃん……老師に連れて行かれたのは沢山のボクの身体だった物が置かれている場所だった。といっても、綺麗に仕分けされて保存の容器に入れられているのもあるし、そのまま置かれているのもある。
「まるでホルマリン漬けみたい……」
「それが何かはわからぬが、保存のための道具じゃな。死体は何もしなければ中にある魔力がすぐに消えてしまうので、保存魔法を使っておる」
「そうなんだ……で、これは何?」
中央にはボクと似たような身体が置いてある。でも、違う所がある。それはその子が女の子だということだ。
「こないだ言っていた娘を作ろうかと思ってな。身の回りの世話をする奴じゃ」
「確かに言ってたね」
「うむ。大体は終わっておるから、後は細かい調整じゃな。まず、血で魔法陣を描くんじゃ。竜魂転生は竜族の秘儀じゃ。覚えておくんじゃぞ。最悪、お主はともかく他の竜族が死んだ時に使えばよいからの」
「うん、わかった」
この竜魂転生があれば今から生まれてくる子が死んでも甦らせることができるかもしれない。
「竜魂転生を行うのには龍脈に流れる我等一族の魂を呼び出す必要がある」
「それって記憶とかはどうなるの?」
「無くなる。微かに覚えておる場合もあるがな。基本的にはないものだ」
「なるほど……」
「今回の場合、呼び出されるのは……いや、なんでもない。それよりも始めるぞ。準備はいいか?」
「うん」
老師に教えてもらいながら、巨大な魔法陣を描いていく。その中心部に保存用の器から出した女の子を寝かせる。手や足などに
「あの、これって……」
「なに、提供してもらったのじゃよ。気にせんでええ。それよりも、ほれ。竜玉じゃ」
竜玉は竜族の力の結晶で、竜脈などを操作したりすることができる。ボクの場合は金色となって金竜の力が宿った武器とかを作れるようになる。風属性なら緑色で、火属性なら赤色。属性ごとに変わっているみたい。
「竜玉……確か、心臓の中にある奴でしたよね」
「うむ。ユーリの場合は二つあるからの。全く、金竜と邪竜の宝玉が二つとは……まあ、よい。それじゃあ始めるかの」
「はい」
老師の言う通り、詠唱を唱えながら龍脈と竜脈の二つの力を呼び出して、全て彼女に流し込んでいく。魔法陣の上にある素材が全て分解され、女の子の身体が光に分解されてから、編まれるかのように綺麗に作り変えられていく。
作られていくのはボクと同じ金竜の少女……だった。途中まではだけど。途中から金色だった髪の毛が段々と赤黒く変色していく。代わりに瞳は金色になった。
「ふむ、やはり禍々しくなるのう」
「えっと……どうして?」
「金竜の竜玉に加えて邪竜の心臓と竜玉を使っておるからじゃな。他は金竜のパーツやあの子のを使っておるし、いけるかと思ったのじゃが……」
「それってかなり危険なの?」
「まあ、意識や記憶はないじゃろうから、問題ないわい。入念に消しておいたからの」
「そっか……」
「それよりも目覚めるぞ。名前を与えるのじゃ。それでこの儀式は終わりじゃ」
老師がボクを魔法陣の中に押していく。女の子は丁度大きな金色の竜瞳を見開き、ボクを見詰めてくる。名前か、どうしよう?
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