第4話 始まりの街・アクアリード。東門での戦闘
【チュートリアルクエスト④:東の草原に出現する三種類のモンスターを各10体ずつ討伐しよう。達成報酬:初心者用ポーション100個、スキルブック1冊】
続いてのチュートリアルクエストは戦闘みたいで、街の外に出ようという感じだった。このはじまりの街の出口は東口、南口、北口となっていて、現在通れるのだが東だけみたいなのでそちらに向かっている矢印の通りに進む。
東門から外に出ると、視界一面の草原が目に入る。その草原ではプレイヤーであろう数人が全長1mくらいありそうな狼や同じくらいの蟻などと戦っている。それ以外にも意味が不明なぷよぷよした不定形の半透明なモンスターまでいる。たぶん、スライムなのだろう。
「戦闘ってどうやるんだろ? 殴ればいいのかな?」
そう思って小首を傾げていると、スクリーンが展開されて“戦闘の手引きを開始しますか?”と出てきたので、“はい”を選択してみる。するといきなり狼のモンスターが目の前に現れた。そのモンスターはちょことんお座りしてこちらの行動を待ってくれている。すこし可愛い。
【戦闘を開始します。身体をこちらで一時的に操作させていただきます。これは身体の使い方を覚えて頂くための練習モードです】
その言葉と同時に身体が勝手に動いて構えを取る。すると、狼も立ち上がって唸り声を上げて飛びかかってくる。ボクの身体は勝手に動いて飛びかかってくる狼の動きに合わせて拳を放った。すると数メートルくらい吹き飛んでバウンドした後、光となって消えてしまった。
【これでモンスターの討伐は終わりです。続いて物理攻撃では倒しにくいモンスターの対処です】
直に次のモンスターが現れた。それは不定形のモンスターだ。
『このモンスターはプルル。物理攻撃を5割減少させます。しかし、スキルを使うと問題ありません』
人形操作が使われたのか、うさぎのぬいぐるみが出現した。
【人形師が操作する人形は術者が持っている魔法やぬいぐるみが所持しているスキルを使う事ができます。魔法を所持していませんので、魔法スキルを一つ差し上げます。以下から選択してください】
四元素魔法
火属性魔法Lv.1――ファイアアロー、ファイアボール
水属性魔法Lv.1――ウォーターアロー、ウォーターヒール
風属性魔法Lv.1――ウィンドアロー、ウィンドアクセル
土属性魔法Lv.1――アースアロー、アースシールド
種族専用魔法
竜属性汎用魔法Lv.1――咆哮、ブレス
物理系だとそっち関連のスキルが貰えるのかも知れないけれど、魔法かぁ。どうしよう。竜属性魔法はレベルを上げたら後で習得できるんだろうし。もっと詳しい情報が知りたい。各魔法を押してみると使える魔法が詳しく表示された。
ファイアアローなどアロー系は単体に対して各属性の攻撃を放つ。ファイアボールは範囲の敵を纏めて攻撃するようだ。ウォーターヒールは飲んだりかけると回復する水を作り出せる。ウィンドアクセルは移動速度など速さが上昇するみたいだ。アースシールドは土壁を作り出して防御する事ができる。これは敵の魔法とかを防ぐのに使えそうだね。
種族専用魔法はエルフなら精霊魔法とかが出るんだろうけど、竜族なので竜属性魔法が出てきてる。咆哮にブレス。咆哮は叫び声で相手を怯ませたりするみたいだ。ブレスは口から竜の力を圧縮した砲撃を放つみたい。威力は消費する魔力と魔法攻撃力によるみたい。
「水属性魔法で」
【畏まりました】
回復方法があった方が死ななくていいし。死んだら大変だからね。色んな意味で。
【では、魔法を使用します。魔法は魔法名を唱え、対象を選択します。続いて魔法陣が展開されます。詠唱が完了すれば光りますので、完成すれば放つ意思を込めれば使用できます】
「ウォーターアロー」
掌がプルルに向いて口から可愛らしい声が響くと、目の前に魔法陣が展開される。一瞬で光った魔法陣から水の矢が放たれる。矢はプルルに突き刺さり、一瞬で光へと還元してしまった。
【以上でこちらでの操作を終えます。続いてご自身でお試しください】
「うん」
狼が現れたので、構える。直に突撃してくる狼ははっきり言って怖い。
「っ⁉」
気付けば接近されて、思わず狼から身体を庇うように突き出した腕を噛みつかれた。
「あれ?」
でも、痛みは一切無い。苦痛耐性が効いているのかも知れない。そう思って自分のHPバーを見ると一ミリたりとも減っていなかった。
「ダメージゼロ?」
首を傾げると、少ししてヒットポイントが1ドット削れた。視界の端にログと書かれたアイコンがでていたので、そちらを意識してみる。するとログが表示された。そこにはダメージが入ったところにクリティカルと書かれていた。それ以外は全部0になっている。
「うん、とりあえず殴ろう。えいっ!」
持ち上げて拳を叩き入れると、それだけで吹き飛んで光となって消えた。これは恐ろしい。流石は金竜といったところなのかも。
【以上で戦闘の手引きを終了します。戦闘の手引きはヘルプより何時でも何度でも行う事ができます】
そう言って、スクリーンが消えた。これで手引きは終わりかぁ。あ、いいこと思い付いた。でも、これっていけるのかな?
思い付いたことを試してみたいので、ヘルプを起動してもう一度戦闘の手引きを行う。
※※※
試したい事。それはもう一度スキルが貰えるかだ。結果は駄目だった。でも、スキルを選択して使用不可にしてからもう一度試すと貰えてしまった。よくよく見ると、他の人も色んな魔法を使っている。これは調べた人が得をするようになっているのかもしれない。この頃、説明書を読まない人とか増えているらしいし。
一応、他の人にも聞いてみよう。丁度ソロで戦っている人もいるし。いや、面倒だしいいか。金竜だって知られても面倒だし、怜奈や恵那が来るまでここで適当に狩ってよう。
門を出てから少し歩いて200mほど移動する。すると今まで横を通っても攻撃してこなかったモンスターが一斉にボク目掛けて襲い掛かってきたっ!
「ちょっ⁉」
ウルフ5体が一斉に襲い掛かってきて、怖い。恐怖で目を瞑り、衝撃に備える。けれど何ともなくて目を開けるとウルフにかじられたり、前足で蹴られたり、体当たりされたりしていた。ヒットポイントは微かに削れているけれど、苦痛耐性のお蔭で痛みは一切無い。
「良くもやってくれたねっ!」
腕に噛みついるウルフをそのまま別のウルフに叩き付ける。さっきのはイベント戦闘だから弱かったのか、一撃では死なない。でも、相手のヒットポイントは7割も削れたので、掴んで武器にして他のを倒す。
腕が自由になったので拳を叩き付けると、一撃で倒れた。そのまま何度か試すと、ちゃんと腰を入れて力を込めて殴ると大ダメージを与えられる事がわかった。操作されていた時はモーションもしっかりと、とれていたらからダメージがちゃんと相手に伝わったのだろう。
しかし、こうなると格闘スキルか体術スキルが欲しくなってくる。スキルブックが貰えるらしいし、討伐を頑張ってみよう。
そんな事を思っていると、アントが4体こちらに近付いてくる。慌ててヒットポイントを確認すると既に全回復していた。魔竜の心臓は伊達じゃないのだろう。
「どんどん倒そう」
引き寄せられてくるモンスター達をひたすら倒していく。前後左右から挟まれても、直感のお蔭で何となく嫌な気配がしたら、身体を動かすようにすれば回避できてしまった。
アントが偶に使って来る酸は少しひりひりして痒くなるから嫌いだ。痛くはないんだけどね。
プルルの相手はウォーターアローでして、次の敵が来るまでにヒットポイントをウォーターヒールで回復しておく。ほとんど魔竜の心臓で回復するから必要ないんだけどね。
回りには敵を倒した事で落ちてくるアイテム、ドロップアイテムも結構落ちているので面倒だけどちゃんと拾っていく。
※※※
「っと、クエスト達成してるや」
体感時間で3,4時間ほどモンスター達と戦っていた感覚がしたので、慌てて街に近づくとモンスター達が寄ってこなくなった。どうやら、街から200mの範囲は安全圏みたいだ。
「ふぅ」
モンスターが自ら寄ってこないので草原に倒れるようにして寝転がる。柔らかい草が疲れた身体を受け止めてくれる。空には太陽が爛々と光り輝き、雲一つない晴れ空が広がっている。
流石にずっと戦っていたので疲れた。レベルを確認すると上がっていない。必要経験100倍は伊達じゃない。
とりあえず、チュートリアルクエスト④の達成報酬であるスペルブックを貰おう。これを使って体術を手に入れる。格闘もいいかと思ったけれど、身体を動かす全般に効果がありそうだから体術にしておこう。
スペルブックを使うと習得可能リストが出てくる。そこから選択するようなので体術を習得する。
レベルアップの得点は新しいスキルの習得みたいだけど、今のところはどうしようもない。それとは別にカスタムポイント、CPが有る。これはステータスの強化やスキルのレベルアップに使えるみたいだ。CPは戦闘でも微かに手に入れる事ができるようなので多少は溜まっている。スキル自体は使えば使うほど経験値が貯まるので基本的にステータスに使うといいかも知れない。まあ、ボクの場合は経験値だと100倍必要なので、CP=経験値という事になるんだけどね。
今の所必要無いのでこちらは放置して、ドロップアイテムを確認する。狼の毛皮やら狼の牙。アントの殻や蟻の酸。ぷるるぜりー。ここまでが通常のドロップ品みたいだ。
レアなのは俊足のブーツとルルの指輪。ブーツは移動速度が10%も上がるみたいだ。プルルの指輪は魔法防御が10上がる。アントからは何もなかった。
とりあえず、ブーツは履いて移動速度を上げておく。これで少しは狩りが楽になるだろうから、干し肉を食べたら再開する。
干し肉の味はあまり美味しくなかった。でも、これは仕方ないだろう。こんなことを考えていると、変なのを見つけた。
「なにあれ?」
3mはあると思われるほど巨大なプルル。頭には王冠が乗っていて、ヒットポイントのバーが3本もある。さらに体内には宝箱のような物を持っている。その大きなプルルが、ウェーブのかかった金色の髪の毛を肩の少し下ぐらいまで伸ばしたショートヘアの女の子が追いかけている。
彼女はの身長は150cmくらいなので倍は大きい。まあ、ボクも人の事を言えないのだけど。
彼女の服装は半袖でお腹を裂けるように服の袖が分かれている。お腹の部分は全部でていて、ピンク色のミニスカートを着ている。武器は槍を持っている事から前衛だと思われる。
「そこの人、逃げてください!」
「やだ」
「ちょっ⁉」
まずは空気を一気に吸い込んで大声を上げながら、同時に魔法を使う。
「ファイアボォォォールゥゥッ!!」
「っ⁉」
大きな声と魔法に驚いた女の子と巨大プルルは止まり、プルルに至ってはファイアボールをその身に受けて少しヒットポイントが削れた。
今回使ったのは戦闘の手引きを複数回利用して貰った火属性魔法のファイアボールと竜属性魔法の咆哮だよ。これで怯んでくれれば問題ない。直に次の魔法を用意する。
「ウィンドアクセル。アースシールド」
自分の身体に移動速度を上げる魔法を使い、アースシールドで巨大プルルの視界を封じる。
「ど、どうするんですか?」
「逃げる」
「え?」
「あ、その前にアレ、貰っていいよね?」
「ええ、構いませんが……」
「じゃあ、貰うね」
全力でダッシュしながら巨大プルルにファイアアロー、ウォータアロー、ウィンドアロー、アースアローの順番で放ちながら逃げ回る。高速で回復していく魔力に物を言わせた作戦だよ。
「ぷるぅううううううううううぅぅぅぅぅっ!!」
相手は怒ったのか、たくさんの口を作り出して液体を発射してくる。それを直感に従って避けてさっさと逃げる。他のモンスターも当然、ボクを狙って押し寄せて来る。
そいつらの中に飛びこんで、踏みつけて倒し、飛びかかってくるのは殴って倒す。
モンスターの囲いから抜けたら、そのまま魔法を撃ちながら逃走する。女の子から距離を取って後ろをみると、それはもうたくさんのモンスターがこちらを目指してきている。まるで電車のようだ。他のプレイヤーも逃げたりしているけれど、気にしない。今はそれどころじゃないから。しかし、ばらけるのも困るので円を書くようにして中心部に敵を集める。
「っと」
直感に従って横に移動すると、上から巨大プルルが降って来た。飛び上がってきたようで、直感が無かったら危なかった。でも、大技だったのか、動かなくなった。なので、そのままフィールドの端まで逃げる。追って来るモンスター達に向けてうさぎのぬいぐるみを取り出す。
「えっと、こういう時の台詞はやっぱりアレだよね」
うさぎのぬいぐるみを抱きながら、声を出さずに魔法の発動の指示を出すと口がぱかりと大きく開く。口の中に金色の光のような粒子が収束されていく。そして、大きな魔法陣が口の前に展開された。
「焼き払え!」
抱えるように持ち直して攻撃指示を出すと、溜めていた黄金の光が光の奔流となって解き放たれる。直線状に居た大量のモンスター達と巨大プルルを飲み込んでいく。同時にボクのMPも物凄い勢いで減っていく。
光の放出が終わると、大量のドロップアイテムが散乱する中、巨大プルルはまだ立っていた。そのHPバーは残り1つとなっている。そして、ボクの手の中のうさぎのぬいぐるみが崩れて光となって消えていった。
「ボクのぬいぐるみがっ!?」
確かに某ジブリのあの人みたいな事を言ったけれど……“駄目だ、腐ってやがる、早すぎたんだ”までやらなくてもいいのに。まあ、ブレスの威力にぬいぐるみが耐えられなかっただけなんだろうけど。後で直してあげよう。
「ぷくぅううううううううううううぅぅぅぅぅぅっ!!」
今はなにやら赤いオーラに包まれて怒り心頭な敵をどうにかするのが先決だ。といっても、人形の予備はないから素手でしか……そうだ。あれをしよう。
ボクは人形操作を発動させ、駆け抜けながら魔法を放つ。怒り狂った巨大プルルは大量の唾を弾幕のように放ってくる。よもや、プルルなんて可愛らしい名前は似合わず、大量にできた口と目がボクを追って来る。
弾幕の中をバク転や宙返りなどを駆使したりして避けたり、空中で錐揉み回転したりして避ける。直感に従っておよそ人間ではできないような無茶な回避軌道を取る。そのたびにヒットポイントが削れていく。けど、すぐに魔竜の心臓とウォーターヒールで回復するので問題ない。
「ファイアアロー、ウォータアロー、ウィンドアロー、アースアロー、ファイアアロー、ウォータアロー、ウィンドアロー、アースアロー、ファイアアロー、ウォータアロー、ウィンドアロー、アースアロー、ファイアアロー、ウォータアロー、ウィンドアロー、アースアロー」
リキャストタイムやクールタイムと言われる待ち時間を無くす為に順番に放つ。ボクの弾幕と相手の弾幕で行うシューティングゲームを楽しみながら接近する。
すると巨大プルルは触手みたいなものを鞭として振るってくる。それを回避したり、回避しきれないのは殴って弾き飛ばしたりして接近する。
「あっ」
しかし、そんな事をしていたら防ぎきれない攻撃は当然あり、ボクは足を掴まれて引きずり上げられ、直ぐに両手両足が拘束されてしまった。そして、巨大プルルは大きな口を開けてボクをぱっくりと飲み込んでしまう。
体内に入れられたボクは継続的なダメージを受けていく。元からステータスが高いのでそこまでダメージを負うことはないけれど、それでもこのままじゃ不味い。でも、巨大プルルの取った行動、それは悪手だ。何故なら――
「ドラゴンブレス」
――近付いて撃つつもりだったのを、体内からドラゴンブレスを撃つ事にしただけだから。
そう、ボクは宝箱を掴みながらドラゴンブレスを放った。全魔力を使ったボクのブレスは激しく鼓動する魔竜の心臓で回復するそばから注ぎ込む。魔竜の心臓の後押しもあり、巨大プルルの上半身が吹き飛び、空高くに聳え立つ金色と黒の混ざった柱が出現した。
「けぷっ」
最後には口から煙を吐き出し、回りを見渡す。すると、頭上から巨大プルルの残骸が降って来た。
「ひゃああああぁぁっ⁉」
悲鳴を上げて慌てて宝箱を持って逃げる。全身、粘液塗れでねちょねちょしていてとても気持ち悪い。
「うわぁ、あれって……」
「えろ……」
「白濁幼女……」
「さいてー」
その言葉にそちらを睨み付けると、慌てて視線を外す男達と冷たい視線を向ける女の人達。
「あの、大丈夫ですか? これ、どうぞ」
「う、うん、ありがとう……」
終れていた女の子がタオルを差し出してくれたのでいそいそと身体を拭こうとして止めた。
「どうしました?」
「いや、もう洗い流そうと思って」
「え?」
ボクは掌を上に向けてウォーターヒールを唱え、全身をびしょびしょにしてしまう。洗い流したら借りたタオルで身体を拭いていく。
「そんな勿体無い魔力の使い方をするなんて……」
そんな風に呆れられていると、巨大プルルの残骸が光となって消えていく。それと同時にボクからレベルアップの音なのか、ファンファーレが鳴り響いた。
【ただいま、チュートリアルフィールドのボス、プルル・ジョゴスが討伐されました。チュートリアルフィールドに居るプレイヤーの皆様はこれより一時間の間、経験値100%増加、ドロップ率100%増加の加護が発動致します。引き続きお楽しみください】
アナウンスが流れると、ボクの回りに居た人達は急いで散っていった。ただ一人、女の子だけは残ってくれた。
「レベルアップ、おめでとうございます」
「ありがとう」
「それとドロップアイテムを早く取った方がいいですよ?」
「あ、そうだね」
起き上がってプルル・ジョゴスのドロップを拾っていく。この宝箱とはまた別みたいだし。
「拾うのを手伝いましょうか?」
「いいの?」
「ええ、助けてもらったお礼です」
「じゃあ、お願い」
「はい」
【プレイヤー・メイシアよりパーティー加入要請が来ております。了承しますか?】
「えっと……」
「パーティーにならないと拾えませんから。あ、もちろんアイテムは頂きませんので、ご安心ください」
「わかった。それとアイテムは入りきらないだろうし、もらってくれてもいいよ」
「でしょうね。ですが、持っていきますよ」
「それだったらいくらか渡すよ」
「それは……いいのですか? 正直、有り難いですが……」
良く見れば、彼女の装備は結構ボロボロだ。修理費とか、結構いると思う。
「気にしないで。メイシアが連れて来てくれたお蔭でボクは戦えたんだから」
「そうですか……ありがとうございます」
「いえいえ。あっ、ボクは名乗ってなかったね。ボクはユーリだよ」
「私も名乗ってはいませんでしたね。私はメイシア。種族はヒューリンです」
「ボクは……竜族だよ」
「それはレアな種族ですね」
「ガチャでね。メイシアは何が出ての?」
「私は戦乙女というスキルで、こと戦闘に関して補正のあるスキルです。簡単に言ってしまえば武芸全般ですね」
戦闘に関する事全般って結構強いね。いや、それ以前になんで逃げてたんだろ?
「勝てなかったの?」
「無理でした。半分くらいまではなんとか削ったのですが、流石にポーションも切れました。武器の耐久力も無くなって、壊れそうだったので逃げました」
「あれでヒットポイント半分だったの!?」
「はい。ヒットポイントゲージは6個です」
「あははは、強いね」
「ですね」
これはやっぱり、報酬は山分けにした方がいいね。流石にもう半分も削り切れたかどうかわからないし。
それから、二人で大量のドロップアイテムを回収して一旦街へと戻った。経験値100%UPは嬉しいけれど、ちょっと今のままじゃ無理だから残念ながら諦める。
それにしても、チュートリアルフィールドって事は本当のフィールドとは別なのかも知れないね。それだったら人数が少ないのも納得できる。発売されてから数週間は立ってるし。
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