恋愛

押すか押されるか

 今回は恋愛に焦点をあててB型を紐解いていこう。


『押してダメなら引いてみろ』

 B型はこの法則には当てはまらない。

『押してダメならもっと押せ』

『押してダメならもうイラネ』

『押してダメなら壊しちゃえ』

 大抵はこのパターンで分岐する。

 ちょうどいい距離という微妙な加減など出来やしないのだ。


 そんな押せ押せのB型だが、実は押されることには極端に弱かったりする。

 何かと厄介者扱いされる我々は、ちやほやされることに慣れていない。いつでも脳内では人気者になる姿を夢見ているが、大半は玉砕で終わってしまうからだ。

 見目麗しいB型様ならいざ知らず、ブサイク標準装備である私にスポットが当たることはまずなかった。


 小学生の時、きっかけが何だったのかは思い出せないが、私は兄の同級生にいじめられていた。いつもは一緒に遊んだりしていたのに、なぜかその時だけからかわれたり囲まれて突き飛ばされたりしていた。その場に兄はいなかった。

 くそこの野郎ふざけんな。

 そんなことを思いながらじっと耐えていると、一人の男の子が飛び出してきた。

 同じクラスの男の子。彼は私の前に立ちはだかると、「やめてやれよ!」とかばってくれたのだ。

 その後どうなったかもよく思い出せないのだが、その瞬間私はその子を好きになっていた。実にわかりやすいフラグである。


 また、中学生の時は、休み時間に男子たちが突然、「こいつ、お前のこと好きなんだってよ!」とクラス中に響き渡る声で言い放った。

 周囲はもてはやし、私は「やめてよも~」なんて、テンプレ的な発言で誤魔化した。

 それからというもの、私はひたすらその子からの告白を待っていた。言われる前はその子のことなんて少しも好きじゃなかったのに、もう付き合う気満々だった。

 告白される日はこなかった。


 B型は押しが強いが、負け戦は嫌いだ。

 好きになるのは容易いが、好かれるのは至難の業だ。ならば、好いてくれる人を好きになればいい。

 正直、旦那と結婚したのもそれが理由だ。顔は好みじゃないし、優しいが、無神経だ。金もない。

 でも、結婚して後悔してるかと言われれば、そんなことはない。今でも子供の前でだってイチャイチャしてるし、仲はいい。


 自分でも不安になるのだが、つまるところそれって、『誰でもいい』のでは? と思うことがある。

 ナンパにふらふらついて行ったり、強姦魔を受け入れたり、結婚詐欺師に騙されるのではないかと本気で心配してしまうくらいだ。幸いそんな目に合ったことはないだ。

 モテモテにならなくたっていい。贅沢は言わない。

 ただ一つ、愛され方を選べる人になりたい。


 私は愛に飢えている。

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