第4話 騙されて見世物小屋

絶賛追剥中のベン・ケー、鼻歌が飛び出すほどの上機嫌。


三郎の刀に手を掛けたとき、

「これはやれねぇ」

咳き込みながら、右手に力がこもる。

「この刀は親父殿の形見だ、源氏についたばかりに……殺された親父殿の形見だ」

その姿に義経は思わず自分の姿を重ねた、自身も託された太刀を握り唇を噛む。

「三郎と言ったな」

「なんだ……」

「余の家人けにんとなれ」

「お前の家人けにん……だと、お前が何様だと言うんだ」

「余は、義朝よしとも九郎くろう名を義経、平家を討つ武士もののふなり!」

追剥おいはぎじゃねえのかよ……」

三郎の目には、胸を張って見栄を切るちっこい子供の後ろで

HAHAHAHAHAと笑いながら、刀や鎧を剥ぎ取る、黒い大男が写っていた。

「HAHAHAHAHA! タカクウレルヨ Happy!ハッピ~ Happy!ハッピ~

「ベン・ケ~……」


三郎に馬の口をとってもらい、初めての馬にまたがり、平泉へ。

もちろん馬は平家の武士が乗ってきた馬だ。

ベン・ケーの馬は、へばるのが早く変え馬しながらである、三郎の忙しさは察していただきたい。


馬と三郎の疲労が半端ない。

ちょっと目を離すと、明後日の方向へ歩き出す義経の馬、

「三郎~」

「殿!今行きますから」

「サブロー」

「ベン・ケー、お前、もう歩けよ~」


街に入っても、汚いちびっこ THE野党 黒い筋肉ダルマ 宿に泊めてくれるはずもない。

「これでは、野宿と変わらんではないか……」

「殿、ここは堪えてください」

「HAHAHAHAHA! Campingキャンピング スキネ」


野宿の最中、怪しい連中と意気投合、酒を振る舞われ、河原でどんちゃん騒ぎの果てに、ベン・ケー 三郎 Down。

義経、年上のお姉さんにデレデレのまま、

「ツネちゃん、パフパフする?」

「パフパフとは、いかなものか?」

「お姉さんと、い・い・こ・と」

「い・い・こ・と……する」

「じゃあ~、こっちに来て~」

「うむ」

三つ刻みつどき捕縛!」

「ん?」

はい捕縛ほばく

仕組まれた罠でした、売り飛ばされました、見世物小屋へ。

黒鬼、平泉に現る!

HAHAHAHAHAHA!

黒い筋肉ダルマは、あっという間に見世物小屋で人気者になりました。

平家を討つ!その目的はどこへやら、気づけば大道芸人のような日々。

皮肉にも、乗馬、弓矢、剣技は、ここで身に付きました。


見世物小屋で芸を磨くこと5年……。

ちっこい武士もののふは軽業師として立派に成長しております。

三郎もMCになり、ベン・ケー相変わらず。

HAHAHAHAHAHA!


そんなとき、北の王 藤原秀衡ふじわら ひでひらから平泉館ひらいずみのたちでの茶会の余興にお声が掛かるのである。

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