第五話 はじめての依頼

レオは朝早くに起き、冒険者ギルドに来ていた。


「おはようございますレオさん。依頼を受けられますか?」


昨日、冒険者登録してくれたポニーテールの受付嬢さんだ。


「ああこれをお願いします。」


そう言ってレオが出したのはKランク依頼ゴブリン集落の討伐


「ああ。《ゴブリン集落の討伐》ですか。それは昨日の夜出されたんですよ。Nランクの冒険者が見つけたので。」


「受けられますか?」


「はい。ここ最近ゴブリンによる襲撃が相次いでいるんです。」


受付嬢が依頼の紙を纏め幾らかペンを走らせる。


「依頼の受領を確認しました。後、ランクアップの試験は一週間後です。」


「わかりました。行ってきます。」


そうしてレオはギルドを後にした。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「やぁ、昨日の来たばかりで朝一に街の外かい?」


門の側にいた兵士が声をかけてくる。


「ガルドさん。おはようございます。」


レオは懐からギルドカードを取り出す。


「……問題なしっと。通って良いぞ。」


「仕事が速いですね。」


「まあな。冒険者や商人で混みだすこともあるからな。」


「成る程。じゃあ行ってきます。」


「ああ。はじめての依頼頑張れよ。」


レオは魔眼を起動し地面を蹴ると重力が軽減された為高速で移動する。


「あ………、なんの依頼受けたか聞くの忘れた。」


ガルドは少し抜けていた。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



レオは目で轍を追う。轍はレオの足下から伸び、なだらかな丘を越えて続いているようだ。


「こっちかな?」


レオの視界に街道沿いの森が眼前まで見えてくる。


普通の冒険者なら数時間かかるところを僅か15分ほどで着いてしまった。


これはレオがアイテムボックスを持っているため荷物がないのと、力場操作による加速による物だ。


「さて、行きますか。」


アイテムボックスから二つの鉈を取り出しながら森へと踏み込む。


「グギィッ!」

「「グギギッ!!」」


森に入って程なくすると、茂みがガサガサと揺れモンスターが飛び出してくる。


Nランクモンスター《ゴブリン》

人の子供程の背丈を持つ鬼属の魔物。緑色の皮膚を持つが鬼属の特徴たる角は持っていない。個体としては強くないが基本的に群れる習性があり稚拙だが知能もち拾った刃物や木の棒等を武器として使う。また繁殖力が強く数が多いので、子供が襲われたりする被害が絶えない。


「待ち伏せ?……いや、森の中で待ち伏せも何もないか。いや、報告によると20程はいるらしいから偵察隊か、はたまた狩りのために少数に分かれているのか。前者なら上位種または変異種のゴブリンが指揮をとっているのだろう。


二本の鉈を構えながら思考を巡らすレオ。その眼は素早くゴブリン達を観察していく。


錆びた長剣持ちが1、短剣が2か。


「グギギッ」

「「グギッ」」


「ハッ!」


ゴブリン達が先制攻撃とばかりに石を投げつけてくるのを鉈で弾きかえす。


投石は有効な攻撃方だ。インカ帝国は投石器による攻撃で弱ったところを棍棒で叩き殺して敵軍を破ったという。


お返しに最前列にいた短剣持ちに斬りかかる。


ゴブリンは木の影に隠れるがそれごと切り裂き、向こうのゴブリンを真っ二つにする。


「グギィッ」

「グッグッ」


残り二匹のゴブリンが逃げ出し長剣持ちは後ろから斬りつけ殺す。


「グギャッ!グギャッ!」


ゴブリンは懸命に逃げ出す。


レオは後を追った。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「はぁっ!」


集落の目前で逃げていたゴブリンの首を撥ね飛ばし、力場操作で加速する。


「風散弾」


鉈で近くのゴブリンを切り払い、少し遠くにいるのは小さな風の弾丸をばらまき駆除する。


「グギャガッ」


拳大の火の玉と三本の矢が飛来する。


「白蛇よ、吸い尽くせ!」


咄嗟にハルモニアを起動し炎弾を吸収しつつ、カドモスで矢を切り落とす。


前方には弓を持った青い皮膚のゴブリン、Mランクモンスター《ゴブリンアーチャー》三体と透き通った水色の皮膚を持ちローブを纏ったLランクモンスター《ゴブリンメイジ》がいる。


「グギャギィッ」


「ガァァ」


第二射目は力場操作で加速し矢を避わす。


炎弾についてはハルモニアで切り捨てる。


腰を捻りながら回転。ゴブリンアーチャが一気に三体、上下に分断される。


「グギガガァッ!!」


ゴブリンメイジは一気に三体も味方が死んで焦ったのか怒ったのか、一気に四発の炎弾を放つ。


「石弾雨!」


対抗して魔法を放ちつつ残りの炎弾を捌きながら距離を詰める。


「ガギギッ」


「ハァッ!」


カドモスで切り殺すと同時に炎弾が放たれる。


しかし……。


「魔眼起動。吹き飛ばせ!」


黄金色の魔眼がいっそう輝き炎弾が吹き飛ばされる。


レオは初めての依頼ゴブリン集落の討伐を達成した。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



魔法術の種類


・炎魔法術:火に関する魔法術のこと。強化は筋力。魔石の色は赤。


・水魔法術:水に関する魔法術のこと。強化は器用さ。魔石の色は青。


・風魔法術:風に関する魔法術のこと。強化は敏捷。魔石の色は緑色。


・地魔法術:地に関する魔法術のこと。強化は硬化。魔石の色は黄色。


・雷魔法術:雷に関する魔法術のこと。強化は処理。魔石の色は紫。


・氷魔法術:氷に関する魔法術のこと。強化は胆力。魔石の色は水色。


・光魔法術:光に関する魔法術のこと。強化は免疫。魔石の色は白。


・空間魔法術:空間を操る魔法術。魔石の色は黒。


・幻魔法術:幻を作り出す魔法術。魔石の色は暗褐色。


・治療魔法術:癒しの魔法術。魔石の色は桃色。


・召喚魔術:魔法術ではない。モンスターを使役する。


・精霊魔術:精霊と契約する術。

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