「に」

憎んだり

恨んだり

そんな人生

淋しいなぁ


++++++++++


おばちゃんのまわりにはたくさんの色んな方々がいらっしゃいました。

その中で、ご自身の「不幸な身の上」を楽しんでいるかのような、「不幸自慢」を得意げに話される方がいました。

自分のに酔っているような…と言った方がわかりやすいかもしれません。


話を聞いてもらいたい、なんとかしたいと口では言い、さめざめと泣かれるのですが、いろいろなアドバイスに対して、「だって…でも…」を繰り返し、なにひとつクリアしようとはなさりませんでした。

「この憎しみ、恨みは消えることはありません!」

と言い残し、結局、おばちゃんの元を去られました。


おばちゃんは、つぶやくように、しみじみと言わはりました。

「憎んだり、恨んだり…しんどいやろなぁ…気の毒なお方やなぁ…淋しい人生やなぁ…」

 

憎んだり恨んだりという心の元は何だったのか、わたしたち他人が、うかがい知ることはできません。

もしかしたら、それは、ほんの些細なこと…ボタンの掛け違い、あるいは勘違いが始まりだったかもしれません。

始まりは小さなことでも、こじらせてしまうと根強く根深くなって修復が難しくなってしまいますね。


憎んだり恨んだりという「負」のエネルギーのダメージは相当なものがあります。

心と身体に、常に「負荷」のかかる、重い重い荷物を背負って歩いているのと同じですから。


かつて。

わたしにも、そういう相手がいました。

憎みましたし恨みもしました。


・・・が。

そう思う時の自分の顔を鏡で見た時、ゾッとしました。

眉間に深い縦皺が刻まれ、瞳が澱み、顔が歪んでいたんです。


せっかくの人生です。

嫌な人の事を憎んで恨んで、大事な自分の人生を暗い気持ちで過ごすなんて、もったいないと思いませんか?



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る