第三章

「超ズボラ勉強法」を身につけよう!



 しばらく困ったなって感じで黙りこんでいた夏子だったが、突然机を両手でバンと叩きながら立ち上がった。


「あー、もう!」

「うおっ!?」

「ダメだよ秀ちゃん、ダメダメ! それじゃ絶対成績なんてよくならないよ!」


 思わぬ夏子の剣幕に、俺も驚いて顔を見上げる。


「だ、だから勉強を教えてもらおうと……」

「今の状態じゃ、私が少し教えたくらいでどうにかなるもんじゃないよ!」

「そ、そこをなんとか……」


 めったに見ることのない夏子の激しさに圧倒されていると、夏子は何かを決意したような顔をした。


「うん、決めた!」

「決めたって、何を?」

「私、この10日間で秀ちゃんを徹底的に改造する! 私が勉強のやり方を教えるから、秀ちゃんもしっかり身につけて!」

「べ、勉強のやり方?」


 首をひねりながら、俺は夏子に尋ねる。


「勉強のやり方って、問題解くしかないだろ? それに、やり方なんてやってる場合じゃ……」

「違うよ!」

「ひっ!?」

「勉強のやり方が間違っていたら、どんなに長く勉強したって全然頭には残らないよ! 絶対にそこから直さないとダメ!」


 そう言うと、夏子は人さし指を自分の顔の前で立ててみせた。


「だから、今日から私がみっちりと勉強のやり方を教えてあげるから! 秀ちゃん、ちゃんと言うこと聞いてね?」

「は、はい……」


 俺は素直に頭を下げる。


 はあ、こりゃまたえらいことになったな……。勉強のやり方か……。そんなことやってる暇あるのかな、てか、そんなの俺にできるのかな……。


 でも、こいつがこう言うんだしな……。やっぱやらなきゃいけないことなんだろうな。よし、いっちょやるしかないか!






 皆さん、お待たせしました!

 いよいよこれから「超ズボラ勉強法」について具体的に説明していきたいと思います。

 まずは、「超ズボラ勉強法」の極意とも言うべき3要素について確認しておきましょう。


「超ズボラ勉強法」 3つの極意


極意1 学習者の学力・学習状況に合った適切な教材を選択する

極意2 学習における無駄な時間を極力省く

極意3 問題の正誤を記録し、最低3回繰り返す


 皆さんに身につけていただきたいのは、たったこれだけです。

 ただし以前お話した通り、これらの極意はその文節・単語レベルでさらに詳しく掘り下げる必要があります。第三章では、この3つの極意について徹底的に突き詰め、具体的な実行方法を皆さんにお伝えしたいと思います。


 3つの極意と言っても、実際にはそれぞれさらに細かい内容に分けることができます。その1つ1つについて本書ではきっちり説明していきますので、皆さんもぜひしっかり身につけていってくださいね。では、次回をお楽しみに。




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